孤立する母を救え! 知られざる助産師たちの奮闘
母親たちは孤立している?
出産後、多くの母親たちが育児の不安を抱えていると言われています。「なぜ泣いているのかわからない」「お乳をなかなか飲んでくれない」など悩みがあっても、夫は仕事で不在の上、核家族化により近くに育児相談できる人が少ない、というケースが多いからです。いわば社会から孤立している状況下で、うつ状態になってしまう母親もいます。出産をした病院への相談も、出産後1カ月を過ぎるとほぼ期待できません。医療機関だけではなく地域ぐるみで、出産・育児を支える仕組みづくりが求められています。
母親中心の出産ができる助産院
そこで、母親たちを支える場所として期待されているのが助産院です。出産というと病院というイメージがあるかもしれませんが、助産院でも出産はできます。医師は在籍していませんが、交代制の病院とは違って1人の助産師が担当制で付き添い、母親の体質・性格・生活スタイルなどを考慮しながら、通常は、妊娠~出産後6~8週間までの関わりですが、1年間にわたってサポートする助産院も少なくありません。出産時の家族の立ち会いも、病院のような制限はありません。母親が医療のシステムに合わせるのではなく、母親中心の環境の中で出産・育児ができるのです。
地域が連携して、背中を押す
育児不安を抱える母親たちをサポートするのは病院や助産院だけではありません。行政や産科医・小児科医、病院勤務助産師・開業助産師、看護師、先輩である母親グループなど、さまざまな職種や有志団体などが、お互いの垣根を取り払い連携し、母親たちを支援していくことが大切です。
そして、そのような社会的環境づくりも大切ですが、同時に母親自身の内発的な力を引き出すことも大切です。看護師や助産師が母親の訴えを聞いて置かれている状況や抱いている気持ち・考えを認め、「大丈夫」と背中を押すことで、母親たちは自信を持ち、より母親らしくなれるのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
常葉大学 健康科学部 看護学科 教授 濱松 加寸子 先生
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