過去を掘り起こし、未来を考える「歴史学」
大学の「歴史学」と高校の「歴史」はどう違う?
史学科は、簡単に言えば歴史学者を育てるところです。過去という目に見えないものを見えるように復元し、それを文章化して第三者に伝えるのが歴史学者で、その作業をするための技術や、歴史的にものを見る力が求められます。
高校の歴史では、歴史学者が書いた教科書を読み、過去の出来事を基礎知識として覚えていきますが、大学の史学科ではその知識を土台にしつつ、過去の事実を自分なりの歴史観で読み解き、再構成して伝えるためのスキルを学んでいくのです。これが「歴史学」という学問です。
歴史の再構築するための技術を習得
史学科では、過去のあるテーマに即して集めた古文書などの史料を分析し、読み解いたイメージ(歴史像)で再構成したものを文章にし、卒業論文として提出します。その中で史料を読み解くために必要な古文や漢文の知識、語学力、史料の内容が正しいかを見極める目や、共感を得られるように叙述する技術などを身につけます。
歴史学で行うことは何も特別なことではありません。「過去を検証し、現在の立場から世の中が未来に向かってどう動くか」を考えることは、政治や企業活動をはじめ、どの分野でも行われています。歴史的なものの見方ができる人は、その力をさまざまな場面でも応用できるはずです。
さまざまな知識が求められる歴史学
あなたが大学で歴史学を学びたいなら、今から自分や家族の歴史を見直すなどして歴史を見る目を養っておくとよいでしょう。例えば、昨日何を食べて、誰と会って、といった過去の事実を日記やブログ、SNSなどに書くことも歴史学の作法を踏襲しているわけです。また、大学に入って歴史の史料を読む際には、古文や英語だけでなく、地理や物理、地学、政治経済、音楽などの知識も必要になってくることがあります。ですから、高校生のうちに、歴史以外のさまざまな分野の知識も幅広く身につけておく必要があるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都女子大学 文学部 史学科 教授 坂口 満宏 先生
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