環境と人々をつなぐ環境経済学、SDGsとHappy
環境経済学ってなに?
「環境経済学」と聞いて、気候変動に関わる難しそうなイメージしか湧かないかもしれませんが、実は私たちの生活にとても身近な学問です。自然環境に恵まれている日本では、環境の価値はあまり意識されていません。おいしい空気やきれいな水、美しい景色、そうしたものが当たり前にそこにあり、無料で手に入るものだと思いがちです。しかし、実は誰かの力、何かの力によって維持されています。例えばきれいな水や空気、豊かな土壌を作るのは、森であり、土であり、野生動物の生態系の力です。そういった無意識のうちに「タダ使い」をしている自然環境を貨幣価値に換算する、つまり環境評価で社会システムにおいて価値あるものと認識することが、環境経済評価の基本的な考えです。
価値を知ることで環境を考える
ではなんのために、環境の価値を知るべきなのでしょうか。農業を例にとると、多くの人が「安全な食」を求め、近年、無農薬栽培や有機栽培に高い関心が集まっています。ただ、それら環境負荷を軽減するためのコストは高く、環境に優しい農業が広まりにくい原因となっています。このコストを販売価格に上乗せしたとき、消費者は「これは環境のためによいから少し高いけど買おう」とは、なかなかなりません。多くの消費者は「安くて品質の良いもの」を購入の決め手としているからです。そこに「環境価値」という認識が加わることで、商品そのものへの価値判断の基準も変化し、生産者に偏っている環境負荷軽減の負担が改善していくと考えられます。
人と自然の共存のために役立つ環境経済学
人間が文明的な社会生活を送りつつ、野生動物や自然にも配慮し共生できる環境を作ることが理想です。人も自然も、みんなの幸せが最大になるために、人と動物がどう共生していけるのか、農業などの産業と自然環境がどう共存するのか、お互いが折り合える社会を、環境評価という観点からひもとき考えることが、環境問題の改善や環境保全へとつながっていきます。
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先生情報 / 大学情報
東北大学 農学部 生物生産科学科 資源環境経済学コース 准教授 井元 智子 先生
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