人間とロボット、一緒に勉強するならどっちがいい?
「わからない」に気づく
友人と一緒に勉強している時、友人の質問に答えられず、「わかったつもりになっていた」と気づいた経験はないでしょうか。こうした気づきは学びにとって重要な要素です。気づきが、学習者の興味を喚起し、自分から積極的に学ぼうという気にさせます。つまり、他者とコミュニケーションをとりながらの学習は、学びの主体性や学びの質を高める有効な方法のひとつなのです。
ロボットが相手だと安心
コミュニケーションによる学習では、パートナーに対する信頼感も重要です。例えば、パートナーが初対面の人間だと、緊張や恥ずかしさなどの心理的抵抗から、積極的に学習に取り組めない傾向が見られます。では、パートナーがロボットだとどうでしょうか。実際に行われた英語コミュニケーション学習の実験では、ロボット相手のほうが人間相手よりも心理的抵抗感が少なく、学習に集中できるという結果になりました。ロボット相手だと緊張もせず、積極的に英語を話せるというわけです。
また、同じロボットでも、パソコンの画面の中にいる場合とモノとして近くにいる場合とでは、後者のほうが良い成績になりました。学習者が目を合せる回数も、モノのロボットのほうが多かったというデータが出ています。つまり、よりヒトに近いロボットのほうが学習者の信頼感を得られ、コミュニケーションの活性化につながったと考えられます。
AIが学びのパートナーになる?
今後AI(人工知能)が発達し、その学習者がどういう間違いをするかなどの傾向を理解して多種多様な反応ができるようになれば、ヒトとAIのコミュニケーションはさらに活性化します。つまり、AIがヒトの学びの良きパートナーになるわけです。
ただし、いつも正解を教えてくれるAIが良きパートナーとは限りません。あえて間違えるAIのほうが主体性の高い学びにつながる可能性があります。AIがヒトの学習支援にあたってどのように振る舞うべきかは、今後の研究課題のひとつです。
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電気通信大学 情報理工学域 I類(情報系) メディア情報学プログラム 教授 柏原 昭博 先生
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