「ものづくり」に必要な技術と知識が、IT化によって大きく変わる!
3Dソフトが設計図面の描き方を変えた
「ものづくり」のあり方が、IT化によって様変わりしています。例えば、建築設計図と聞くと、精密な直線や曲線、寸法などが書き込まれた紙のものを思い浮かべると思います。実際、これまでは、正面、側面などそれぞれの「面」を2次元で描画し、それを3次元に翻訳しながら建築作業を行っていました。
しかし2009年、「BIM(ビム)」という概念に基づいた建築設計専用の3Dソフトが開発され、アメリカをはじめ先進諸国が徐々にBIMシステムを採用し始めたことにより、最初から3次元の形状を設計できるようになったのです。
2次元図面を3次元化するムダを大幅削減
建築の一部工程では、2次元図面が重要な場合もありますが、BIMを使うと2次元図面も、必要に応じて出力できます。また、同じ案件に携わっている設計士や技士が、コンピュータ上でデータを共有できるため、複数の関係者が同時進行で設計作業を行うことができます。さらに、住宅やビルの建て主に確認してもらうため、これまでは設計図面を元に立体的に見えるパース(俯瞰図)を別途作成していましたが、BIMならばその手間が必要なく、平面図に加えた修正がパースに反映されないなどの人為的なミスも発生しません。
「ものづくり」のIT化の広がり
立体的な造形物を作る際も、これまではまず図面を描いて鋳型を作り、樹脂や金属を流し込んで固める方法が主流でした。しかし「3Dプリンタ」の登場によって、データからすぐに立体構造のものが作れるようになりました。また、レーザーカッターやプラズマカッター、NC加工機などを使えば、入力したデータ通りの切り取り・切り出し加工が圧倒的な速さと正確さで行えます。
従来、「ものづくり」の現場では、高度な技術を有する熟練の職人や技師が、黙々と作業を行うのが一般的でした。しかし、建築や加工分野のIT化が進むにつれ、作業の内容も、そのために学ばなければならないことも、急速に変わりつつあるのです。
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先生情報 / 大学情報
広島工業大学 環境学部 建築デザイン学科 准教授 杉田 宗 先生
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