「細くなりたい」という思いはなぜ生まれる?
太っていないのに、なぜ人はやせたいの?
若い世代の中には、BMI(国際標準の体格指数)がいわゆる「やせ型」であるにもかかわらず、「もっとやせたい」と思っている人が数多くいます。日本だけではなく、先進国では一般に細身志向の傾向が高いのです。数値上では太っていないのに、なぜ人はやせたいと思うのでしょうか。
美の基準は、モデルや女優だった!
生物学的に見ると、若い女性は有能な男性を獲得するために、「魅力的な身体になりたい」という欲求を持ちやすいと考えられます。さらに文化的・社会的な要因も関わってきます。ファッション・美容・健康業界のビジネスなど、経済の発達した先進国では、消費者の関心をひくために、テレビ・Web・雑誌などに美しく、やせたモデルの写真や動画が頻繁に登場します。小さな村や集落といった限られた範囲で暮らしていた時代では、目にする美人の数はそれほど多くなかったはずですが、メディアの発達した現在では、古今東西を代表する美のモデルを大量に目にしてしまいます。私たちは、そうした美のモデルと自分を比較し、自分もそうなりたいと思うのでしょう。現代の美のモデルたちはとても細いですから、多くの女性はそれに憧れるわけです。
メディアが身体意識を支配する?
ファッションへの出費が過剰な人の中には、身体への劣等感や不安、不満を抱えている人が少なくありません。同様に、フィットネス・ジムなどへ通う人も、一見、健康的に思えますが、その中には劣等感や不安、不満を抱えている人がいるのかもしれません。
私たちはメディアによって、知らず知らずのうちに身体意識が支配されてしまう場合があるということに気づく必要があります。その場合、無理なダイエットや食事をすることで健康を損なうこともあります。つまりメディアリテラシー(メディアを読み解く能力)のあるなしで、精神と身体の健康が左右されることもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 情報社会学部 情報デザイン学科 ※2024年4月開設 教授 羽成 隆司 先生
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