国際理解に必要なもの 歴史や文化、価値観の変遷を知る
外国人との交流で大切な歴史・文化の理解
海外の人とコミュニケーションをとる上では、語学力を高めるだけでなく、その国の歴史や文化などを知っておくことも大切です。歴史的・文化的な背景がわかっていれば、お互いの文化を尊重しながら、より深い関係を築くことができるでしょう。例えば、現代の中国のライフスタイルや文化は、宋の時代にその礎となるものが築かれたと言われています。宋の時代に、街のつくりがより開放的なものへと変化した結果、人々の生活に直結する音楽や文学、食事などの数々の文化が誕生しました。当時花開いた文化は、現代の中国の暮らしにも通ずるものが多くあります。宋代前後からの歴史や文化の変遷を学んでおくことで、現在の中国や中国に暮らす人々をより深く理解することができるようになるのです。
国や時代、環境の影響を受ける「美の基準」
特に、相手の価値観や考え方を知る上では、「美の基準」を意識しておくことも必要でしょう。どのような物事を美しいと感じるかは、国や時代、環境によって、その基準が大きく変わります。例えば、宋の時代には、古来の伝統を生かした「保守的」な美術品や文学作品が好まれる傾向が一部にありました。このような美的感覚が生まれたのは、当時の王朝が戦に弱く、周辺国から常に攻め込まれていたという状況が大きく影響しています。自国の存続が脅かされる状況にあったからこそ、せめて精神性や文化だけは、古くから続くものを大切に守り抜きたいという当時の人々の思いが、「美の基準」に深く表れていたと言えます。
真の国際理解に必要なもの
こうした価値観の変遷は、これまでの歴史学の研究のように、政治的・経済的な側面をみるだけでは明らかになりません。哲学や文学、歴史、政治、経済など学際的なアプローチで研究を進めることが必要です。その国の文化や考え方、価値観がどのような歴史的背景のもとに生まれ、現代社会へとつながっているのかを考えることで、真の意味での国際理解が進んでいくはずです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。