講義No.08799 教育 児童学

子どもの個性にあった学びを フリースクールの可能性

子どもの個性にあった学びを フリースクールの可能性

フリースクールってどんなところ?

フリースクールは、子どもの個性・自由・自主性を重んじる学校外の学びの場・居場所です。オルタナティブスクールと呼ばれることもありますが、ここでは便宜的にフリースクールという言葉を用います。フリースクールは不登校の子どもたちの増加や既存の学校教育に対する疑問を背景に広がり、現在、各地で多様な支援や教育のかたちをとりながら運営されるに至っています。

フリースクールの支援と学びの特徴

フリースクールの中には、さまざまな困難を抱えた子どもたちを受け入れているところもあります。そこでは子どもが安心できる居場所としてさまざまな支援の工夫がなされています。一般的にスタッフは子どもの気持ちに共感するといった役割を担っています。学校のようにあらかじめ決められたカリキュラムや時間割があるのではなく、子どものやりたいことや自主性が大切にされています。時間の特徴について言えば、できる限り柔軟でゆるやかなスケジュールになっていることも多くのフリースクールに共通する特徴です。また活動はフリースクールの場だけにとどまらず、自然体験などのさまざまな体験活動も行われるなど、それぞれのフリースクールで個性的なプログラムが設けられています。このような活動を継続するためには、スタッフ側の学びや努力も不可欠です。現場では、スタッフ間の協力や公的、あるいは民間の支援機関なども含めたさまざまなつながりの中で、支援や学びが維持されています。

教育の多様性を考える

2016年に不登校の子どもたちの多様な学びの場の支援も含めた「教育機会確保法」が成立しました。以降、フリースクールの活動がいっそう注目を集めており、一部ではフリースクールで学ぶことについて教育の選択肢として理解する考え方も高まりつつあります。一方、財政面の課題など活動の継続に関して、さまざまな議論がなされています。不登校の子どもたちが増加する中、多様な教育の役割や課題に対して、社会としてどのように向き合うかが問われているところです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 人間関係学部 人間共生学科 ※2024年4月開設 准教授 佐川 佳之 先生

椙山女学園大学 人間関係学部 人間共生学科 ※2024年4月開設 准教授 佐川 佳之 先生

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教育学、教育社会学、社会学

メッセージ

近年、多様な教育が注目されています。教育の場というと、学校を想像しがちですが、フリースクールなど地域でも独特で多様な教育が行われています。学校になじめなかった子どもが、フリースクールに環境を移すことで、やりたいことを発見することも珍しくありません。教育の多様性は新しい自分の可能性を広げる土台です。大学の学びもこれに似ています。大学では多様な学びや出会いの中で自分がやりたいことを能動的に探すことができます。多様な価値観に触れることで、高校生活では想像できなかった自分に出会えるかもしれません。

先生への質問

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椙山女学園大学に関心を持ったあなたは

「わたしは、自分らしく生きられる社会を、つくる。」
人間の多様性とつながりを探究し、人間関係力を生かし共生社会のその先へ。

多様化した社会に求められるのは、立場の異なる人たちがつながり支え合える共生社会の構築です。人間共生学科では、「多様性」「包摂性」をキーワードに、変化し続ける社会の中で生きる多様な人への深い理解と、そのつながりや支え合いの仕組みを学び、社会にある「当たり前」を問い直す柔軟な思考と実践力を養います。