講義No.08799 教育 児童学

フリースクールの可能性とは?

フリースクールの可能性とは?

フリースクールってどんなところ?

フリースクールは、子どもの個性・自由・自主性を重んじる民間の学びの場・居場所です。日本では、1985年に設立された「東京シューレ」がその先駆けで、1990年代から都市部を中心に全国に広まりました。
フリースクールが増えている背景には、画一的な教育が行われている学校への批判や、そのような学校生活になじみにくい不登校の生徒が増えているなどの理由が挙げられます。公的な教育機関ではないので、学びの内容も実にさまざまで、多様な個性や背景をもつ幅広い年代の子どもたちが通っています。

フリースクールの支援と学びの特徴

フリースクールの中には、さまざまな困難を抱えた子どもたちを受け入れているところもあります。そこでは子どもが安心できる居場所としてさまざまな支援の工夫がなされています。一般的にスタッフは子どもの気持ちに共感するといった役割を担っています。また、学校のようにあらかじめ決められたカリキュラムや時間割があるのではなく、子どものやりたいことや自主性が大切にされています。時間の特徴について言えば、できる限り柔軟でゆるやかなスケジュールになっていることも多くのフリースクールに共通する特徴です。子どもの気持ちに寄り添い、また学びを支えるためには、スタッフ側の学びや努力も必要です。現場では、スタッフ間の協力やフリースクール以外の支援機関なども含めたさまざまなつながりの中で、支援が維持されています。

学びの選択肢になる可能性

以上のような居場所だけでなく、自然体験や地域での仕事体験といった活動も広く行われるなど、それぞれのフリースクールで個性的なプログラムが設けられています。2016年には不登校の子どもたちの学習支援も含めた「教育機会確保法」が成立したことで、フリースクールのような多様な学びのあり方が注目されています。もし多様な学びへの社会的な認知が広がっていくならば、将来、フリースクールが学びの選択肢の一つになっていくことも予想されます。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 人間関係学部 人間共生学科 ※2024年4月開設 准教授 佐川 佳之 先生

椙山女学園大学 人間関係学部 人間共生学科 ※2024年4月開設 准教授 佐川 佳之 先生

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教育学、教育社会学、社会学

メッセージ

近年、多様な教育が注目されています。教育の場というと、学校を想像しがちですが、フリースクールなど地域でも独特で多様な教育が行われています。学校になじめなかった子どもが、フリースクールに環境を移すことで、やりたいことを発見することも珍しくありません。教育の多様性は新しい自分の可能性を広げる土台です。大学の学びもこれに似ています。大学では多様な学びや出会いの中で自分がやりたいことを能動的に探すことができます。多様な価値観に触れることで、高校生活では想像できなかった自分に出会えるかもしれません。

先生への質問

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椙山女学園大学に関心を持ったあなたは

「わたしは、自分らしく生きられる社会を、つくる。」
人間の多様性とつながりを探究し、人間関係力を生かし共生社会のその先へ。

多様化した社会に求められるのは、立場の異なる人たちがつながり支え合える共生社会の構築です。人間共生学科では、「多様性」「包摂性」をキーワードに、変化し続ける社会の中で生きる多様な人への深い理解と、そのつながりや支え合いの仕組みを学び、社会にある「当たり前」を問い直す柔軟な思考と実践力を養います。