ことばを客観的に分析するとは? ことばを教えるとは?
日本語学と日本語教育
日本語教育とは、日本語を母語としない人に日本語を教えることです。小・中・高校で行われる「国語教育」は基本的には日本語を母語とする人を対象とするので、区別されます。そして、日本語学というのは日本語をひとつの言語として分析する学問です。外国人の視点に立って日本語を捉える学問なので、日本語教育と合わせて、他文化共生の時代にはますます必要となるものだと思います。
「やさしい日本語」とは?
外国人にも伝わる共通言語として考え出された「やさしい日本語」を知っていますか。これも日本語学や日本語教育学を研究している人たちが考えだし、普及させてきました。あなたも「やさしい日本語」のニュースを見たことがあるかもしれません。「火災が発生しています」と伝えるよりも、「火事が起きています」と伝えたほうがわかりやすいでしょう。災害時に支援する際も、「温かい無料の食事を食べたい人は、3時にここに来てください」と「人」にかかる長い節があるよりは、「3時に来てください。食事があります。温かいです。無料です」としたほうがわかりやすいのです。
日本語教師には工夫が必要
「やさしい日本語」が普及する前から、日本語教師はこのような工夫をして話してきました。日本語だけを使って日本語を教えるので、わかりやすく伝える必要があるからです。初級の外国人に教えるときは、その他にも、絵カードや文字カード、ジェスチャーを多用します。練習方法については、言葉をただ復唱や暗記するだけでなく、使う場面を具体的に思い描けるようにする工夫が効果的です。例えばただ、「食べます→食べられます」「食べません→食べられません」と可能形の練習をするのではなく、レストランで「ここではタバコは吸えません」、美術館で「ここでは写真は写せません」というように、自然な言い方を、場面とともに学んでもらうのです。
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先生情報 / 大学情報
京都外国語大学 外国語学部 日本語学科 教授 坂口 昌子 先生
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