町田市は進んでいる!~新しい公会計制度の導入~
町田市の公会計制度
東京都町田市は、公会計の領域で最先端をいっている自治体です。町田市の財務諸表では、単純な現金収支にとどまらない、フルコストの財政状況が把握でき、しかもコスト構造を事業別・施設別に経年比較できる仕組みになっています。行政評価を通じて、事業別の業績を予算編成に反映させることにより、効率的な資源配分を実現しようとしています。もちろん、町田市は行政組織なので、その運営には、効率性のみならず、公平性の視点も必要ですが、同市の事業別財務諸表の作成は、実施している事業のどこに改善の余地があるか、どうすれば無駄を省き効率的な行政サービスを提供することができるか、という問題に対して非常に効果的な取り組みだといえるでしょう。
図書館事業では
例えば、町田市の図書館事業の場合、同事業の行政評価シートから、貸出点数や蔵書回転率の目標値と実績値を比較することができます。さらに、蔵書1点当たりのコストや、開館日1日当たりのコストも把握することができます。そしてそれを図書館ごとに比較することができるのです。町田市には8つの図書館があるのですが、1日当たりのコストなどを図書館施設ごとに比較することによって、どの図書館がもっとも効率性が高いか、それはどのような要因によるものかなどを把握することによって、図書館事業全体の効率化を図ることができる、というわけです。
業務委託の意思決定もできる
図書館事業だけでなく、高齢者福祉事業でも同じように事業効率を比較できます。例えば、一部の業務を民間事業者に委託しようとするとき、自治体がすべて運営した場合と民間事業者に委託した場合とで、どちらがコストパフォーマンスが高いか、比較検討する必要があります。その際、従来の現金収支だけではコストが正確に把握できません。事業別・施設別にどれだけのコストがかかるのかを比較できて初めて、業務委託すべきか否かという判断ができます。町田市の仕組みであれば、業務委託の意思決定もスムーズに行うことができるのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 教授 野口 昌良 先生
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