廃棄物処理が生む問題を多面的に解決する!
地球温暖化の原因となるメタンを減らす
地球温暖化の原因となる温室効果ガスとして二酸化炭素はよく知られていますが、それよりも二十数倍温室効果が高いといわれるのがメタンです。メタンは廃棄物埋立処分場からも発生します。廃棄物が微生物によって分解処理される際、酸素が必要な好気性微生物によって分解されるとメタンは発生しませんが、酸素が不要な嫌気性微生物によって分解されるとメタンが発生します。もちろん、酸素を強制的に供給すれば好気的な分解が進みますが、それでは電力が必要になります。そこで考えられたのが、埋立処分場の中に小さな穴の開いたパイプを通して水を抜くことで、内部を空気で満たす方法です。こうすると好気的な分解が進み、内部温度が上昇します。それによって空気が対流して、空気を送り込むのと同じ効果が得られるのです。
災害時の廃棄物処理を迅速化する
廃棄物処理には、災害時にいかに対応するかという問題もあります。実は、廃棄物処理施設は必ずしも市町村ごとにあるわけではなく、複数の自治体で共用していることもあります。災害時には大量の土砂や流木などの廃棄物が持ち込まれ、家庭ごみも増加します。復興を早めるには、迅速な廃棄物処理が求められますが、自治体がそれに対応できる体制を整えているとは言えないのです。そこで、廃棄物処理という点でどういう計画を立てればよいのかを提案するのは大学など研究機関の役割です。
問題解決に必要な科学技術以外の視点
ごみ処理に関しては通常時の対策も必要です。最近は一人住まいの高齢者が増え、特に、重いごみが出せないという問題が発生しています。これを支援するのは、自治体だけでは限界があります。そこで、地域住民による対応、あるいは、自治体と地域住民が協力して対応することが必要になります。そのためのプログラムを作るのも重要です。このように、廃棄物処理に関しては、科学技術だけでなく政策的な視点や地域社会づくりの視点からも、問題解決することが求められているのです。
参考資料
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福岡大学 工学部 社会デザイン工学科 准教授 鈴木 慎也 先生
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