優れた中小企業から学べば、日本経済はもっと盛り上がる
30年以上連続で有給休暇取得率100%を達成
北海道のある老舗菓子メーカーは、30年以上継続して有給休暇取得率100%を達成しています。有給休暇とは、心身の健康とゆとりある生活を保障するために与えられる、取得しても賃金が減額されない休暇のことです。日本全体の有給取得率は50%前後。政府は令和7年までに「取得率70%」を目標としています。こうした数字からも、同社の取り組みがいかに突出しているかがわかるでしょう。初めは残業が増えるなど課題もありましたが、雇用や設備投資を強化することで労働時間短縮に成功しました。こうした取り組みは社員の成長と会社の発展に貢献し、好循環を生み出しています。
従業員の約7割が障がい者
神奈川県のあるメーカーは、60年以上前から障がい者雇用に力を入れ、現在は従業員の約7割が障がい者という驚くべき数値を達成しています。政府は企業に対して、従業員のうち2.3%の障がい者雇用を義務付け、条件を満たさない企業から納付金を徴収しています。しかしながら、令和4年の障がい者雇用達成企業の割合は48.3%に留まっています。いかに同社の数値が際立っているかがわかるでしょう。職場では障がいの特性をよく見て、時間の経過が分かりやすいように砂時計を活用するなど、あらゆる工夫をしています。このような企業文化は、健常者の業務効率化にも役立っています。
中小企業が日本経済を活性化させる
このように中小企業にも優れた経営を行っている会社はたくさんあります。事実、日本の会社は99.7%が中小企業であり、従業者数では約7割の人々が中小企業で働いています。中小企業を知らずに日本の経営は語れません。研究者は全国で調査を行い、世の中には知られていない先進的な経営をしている中小企業を見つけようとしています。そして、優れたノウハウを他の中小企業にも広めようと努力しています。中小企業が成長すれば、日本経済が成長するのです。中小企業を突破口として、低迷の続く日本経済を再び活性化することが期待されます。
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立正大学 経営学部 経営学科 教授 川村 悟 先生
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