講義No.08805 看護学

新人看護師がずっと続けられるためのポイントとは?

新人看護師がずっと続けられるためのポイントとは?

新人のリタイアは組織にもダメージ

どんな仕事でも誰もが新人からスタートします。看護師などの専門職では、実習や国家資格試験などを経てデビューします。でも、残念ながら就業1~3年で辞めてしまう人が毎年一定数います。せっかくの夢からリタイアするのは本人にとってもつらいものですが、教育に当たった先輩や、組織全体からみてもダメージは大きくなります。
新人時代は不慣れなことが多く、ストレスを抱えがちですから、それを乗り越えられる仕組みや環境があれば、新人のリタイアを防ぐことができます。

ストレスに対処する力を育む成功体験

そのキーワードがSOC(sense of coherence)といわれる、ストレスに対処する力です。これは、第二次世界大戦時の強制収容所を経験した人たちの健康調査をきっかけに、人間の元気の謎に迫る「健康生成論」の研究から理論化されました。
SOCのポイントは3つです。まず、何が起きているかを「把握する力」、次に、自分で対処できることか誰かの助けが必要なことかを見極める「処理する力」、そして、経験には意味があると感じられる「有意味感」です。自信を喪失した人の多くは、「(私は)わからない、できない、なんの役にも立てない」と考えがちです。そうではなく、「わかる、対処できる、役に立っている」ことを実感できる、成功体験を得るための仕組みが必要なのです。

互いにサポートしあえる職場や社会へ

具体的には、新人を中心にミーティングを実施し、「仕事の流れがわかった」など、以前より少しでもできるようになったことを仲間の中で共有します。すると、自分の成長に気づいたり、次の目標が見えたりします。先輩や仲間とサポートし合い、小さな成功体験を重ねることで自信へとつながるのです。
この手法は、管理職のマネジメントや企業での教育、子育てや高齢者の支援、産後ケアなどにも広く活用できます。さまざまなシーンで活用すれば、互いに支えあい、高めあえる社会の実現につながるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 看護学部 看護学科 准教授 中嶋 文子 先生

椙山女学園大学 看護学部 看護学科 准教授 中嶋 文子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

看護学

メッセージ

「自分がやりたいことはなんだろう」と、真剣に悩んでいる人も多いでしょう。ひとつのヒントがまず興味のあること、自分に向いていることを見つけることです。例えば、看護職ひとつとっても、慢性期医療と急性期医療、周産期医療などと幅広く、求められる知識や技術も異なります。また、じっくり取り組むのが向いているのか、テキパキ行動することが好きなのかなど、自分の向き不向きや「自分らしさ」を見極めることも大切です。
好きで自分の性にも合っていることなら、大抵のことは大丈夫です。今のうちから自分を深く見つめましょう。

先生への質問

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椙山女学園大学に関心を持ったあなたは

「わたしは、人と向き合いながら、成長し続ける。」
変化が著しい看護の現場で、人と向き合いながら、成長し続ける力を。

看護学科では、名古屋市内の基幹病院を中心に数多くの実習先を用意し、多様で豊富な臨床経験を通してあらゆる医療・看護現場に対応できる知識と技術、実践力を身に付けます。また、臨床経験豊富な教員陣による丁寧な対話と指導を重視。現場が求める豊かな人間性と看護実践力を備えた、成長し続ける看護職者を育成します。