新人看護師がずっと続けられるためのポイントとは?
新人のリタイアは組織にもダメージ
どんな仕事でも誰もが新人からスタートします。看護師などの専門職では、実習や国家資格試験などを経てデビューします。でも、残念ながら就業1~3年で辞めてしまう人が毎年一定数います。せっかくの夢からリタイアするのは本人にとってもつらいものですが、教育に当たった先輩や、組織全体からみてもダメージは大きくなります。
新人時代は不慣れなことが多く、ストレスを抱えがちですから、それを乗り越えられる仕組みや環境があれば、新人のリタイアを防ぐことができます。
ストレスに対処する力を育む成功体験
そのキーワードがSOC(sense of coherence)といわれる、ストレスに対処する力です。これは、第二次世界大戦時の強制収容所を経験した人たちの健康調査をきっかけに、人間の元気の謎に迫る「健康生成論」の研究から理論化されました。
SOCのポイントは3つです。まず、何が起きているかを「把握する力」、次に、自分で対処できることか誰かの助けが必要なことかを見極める「処理する力」、そして、経験には意味があると感じられる「有意味感」です。自信を喪失した人の多くは、「(私は)わからない、できない、なんの役にも立てない」と考えがちです。そうではなく、「わかる、対処できる、役に立っている」ことを実感できる、成功体験を得るための仕組みが必要なのです。
互いにサポートしあえる職場や社会へ
具体的には、新人を中心にミーティングを実施し、「仕事の流れがわかった」など、以前より少しでもできるようになったことを仲間の中で共有します。すると、自分の成長に気づいたり、次の目標が見えたりします。先輩や仲間とサポートし合い、小さな成功体験を重ねることで自信へとつながるのです。
この手法は、管理職のマネジメントや企業での教育、子育てや高齢者の支援、産後ケアなどにも広く活用できます。さまざまなシーンで活用すれば、互いに支えあい、高めあえる社会の実現につながるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 看護学部 看護学科 准教授 中嶋 文子 先生
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