ずっとキレイなままでいるあの人の秘密
老化した細胞が病気や肌の劣化の原因に
今、老化のメカニズムの研究が進み、細胞レベルで解き明かされようとしています。この研究が活用できれば、高齢者がかかりやすい病気を予防し、健康寿命を延ばすことはもちろん、アンチエイジングまで効果が期待できます。そのキーワードとなるのが、「SASP(サスプ)」と「mTOR(エムトール)」です。
細胞は、一定レベルまで細胞分裂を繰り返したり、さまざまなストレスにより分裂しなくなります。これが、細胞が老化した目安です。老化した細胞が蓄積すると、炎症を引き起こす遺伝子が活性化されるようになります。この現象をSASPといい、白内障やフレイルといった老化による病気と密接に関連していると考えられています。さらには、SASPによりコラーゲンが分解され、ハリや弾力を失うといった肌の劣化にも影響するのです。
食事によって老化現象を軽減
現在、薬によってSASPを抑制、もしくは老化細胞を除去しようとする研究が進んでいます。ですが、日常の食事でSASPを抑制できれば、効果は緩やかですがより自然であると言えます。
ここで重要になるのが、「mTOR(タンパク質リン酸化酵素)」です。これは食事によって摂られる栄養素や分泌されるインシュリンなどによって活性化され、細胞の成長を促進する役割を果たしていますが、mTORが活性化するとSASPも活性化します。つまり、食事制限や食事内容の工夫などによってmTORの活性化を抑制すれば、SASPも抑制できるのです。そのために有効な食品を明らかにし、意識的に摂り入れることで、病気予防や美容、健康に大いに役立ちます。
食事が果たす役割
多くの病気や老化現象は、食生活や運動といった日常生活が影響しています。超高齢社会では、栄養が果たす役割は大きく、健康はもちろん、予防医学としての働きも求められています。健康寿命を延ばすことが急務となっている今、食事は健康をサポートしつつ、イキイキとした肌を取り戻す美容においても貢献できるのです。
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先生情報 / 大学情報
椙山女学園大学 生活科学部 管理栄養学科 教授 本山 昇 先生
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