海底の鉱物資源・エネルギー資源を、どのように採掘するか
日本の近海には、豊富な地下資源が眠っている
地下資源には、金属などの鉱物資源と化石燃料に代表されるエネルギー資源があります。近年の海洋探査の結果、日本の近海には多様な地下資源(海底資源)が豊富に眠っていることがわかってきました。鉱物資源には、さまざまな希少金属を含んだマンガン団塊、海底熱水鉱床、コバルト・リッチ・クラスト、レア・アース泥が挙げられます。また、固体のエネルギー資源としてメタンハイドレートがよく知られていますが、海底の表層近くにも存在していることがわかってきました(表層型メタンハイドレートと呼ばれる)。化石燃料であるメタンハイドレートは、石油・石炭・天然ガスを海外からの輸入に依存している我が国のエネルギー供給事情を、大きく改善する可能性があります。
海底資源の採掘をうまく行う技術がない!
海底の鉱物資源を海上に引き揚げることを「揚鉱(ようこう)」と呼びますが、深海底からの揚鉱をうまく行う技術はまだ開発されていません。また、海底地盤の中に存在するメタンハイドレートは、分解すればメタンガスとして天然ガスと同様の方法で回収することができそうです。しかし、分解をうまく行う技術はまだ開発されていません。ここで「うまく行う技術」とは、資源の採掘方法として、安全かつ経済的であることはもちろん、環境にも優しい信頼性の高い工学技術ということです。
持続可能な開発のために
在来型の化石燃料(石油・石炭・天然ガス)は、近い将来に消費し尽くされて枯渇すると心配されています。一方、金属はリサイクルが可能ですが、このままのペースで人口が増加し経済発展が追求されれば、いずれ不足して争奪戦が始まるかもしれません。人類が「持続可能な開発(sustainable development)」を実現するためには、海底資源を採掘する工学技術がどうしても必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
東京海洋大学 海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科 教授 谷 和夫 先生
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