一筆書きストロー多面体

一筆書きストロー多面体

一筆書き

一筆書きとは筆を紙面に下ろしたら紙面から離すことなく、同じ線を2度たどる事なく、与えられた図形や文字を描く操作のことです。例えば日という漢字は一筆書き可能ですが、田という漢字は一筆書き出来ません。一筆書き出来る図形の特徴について知られているオイラーの定理について解説します。また、話を進めるために少し言葉を用意します。以下では「グラフ」とは放物線のグラフのようなグラフではなく、点の集まりと、それらを結ぶ線の集まりから構成される図形のことを言います。例えば正4面体や正6面体などの多面体は頂点と辺からなる図形、グラフとみなすことが出来ます。

一筆書き多面体

出発点に最後に戻ってくる一筆書きをオイラー閉路と呼びます。オイラー閉路は文字のように平面に書かれた図形ではなく、一般に「グラフ」と呼ばれる図形に対しても考察することが出来ます。多面体をグラフとみなすことにより、オイラー閉路を考えることができます。ストローに麻紐を通してつなげるといくらでも長いストローの並びが出来ますが、これを上手に“絡ませて“多面体を「書く」ことを考えます。多面体を組み立てる過程でオイラー閉路の選び方によって組み立てのし易さに差が生じることが分かります。ここで、性質の良いオイラー閉路を選ぶにはどうしたら良いのだろうか? そもそもオイラー閉路はどれぐらいたくさんあるのだろうか?という素朴な問題に気がつきます。

カッパ変換

オイラー閉路を数え上げることは難しい問題であることが知られていますが、オイラー閉路を列挙する有力な方法としてカッパ変換と呼ばれるものを用いる方法があります。多面体グラフのオイラー閉路は次々に多面体の頂点を辿っていくので頂点の列とも考えられます。この列の途中で現れる、ある頂点から出発してそこに最初に戻ってくるまでの頂点の部分列を反転するものです。これはオイラー閉路を異なるオイラー閉路に変形します。次々にカッパ変換を繰り返すことによりオイラー閉路を数え上げることができます。

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津田塾大学 学芸学部 情報科学科 教授 貞廣 泰造 先生

津田塾大学 学芸学部 情報科学科 教授 貞廣 泰造 先生

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何かこうすれば良いと自信持って言うことは私には出来ませんし、私自身は高校時代は部活動も勉強も思ったようにはうまく行かないことばかりでした。しかし後で振り返ると、何か目標を持って努力することができる環境にあったことはとても幸せなことだったと感じます。

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