よいまちづくりを考える このまちの問題点とその解決方法とは?
まちのさまざまな情報を共有する
住みよいまちとは、住民が安心・安全に住めるまちです。例えば古くなった公営住宅は、台風や地震などで倒壊の危険がありますが、建て直すには、いったん住民全員の立ち退きが必要です。しかし、住み慣れた場所から移りたくないという人もいます。こんなとき、行政は具体的なデータや資料を使って、住民に適切で客観性のある情報を丁寧に伝えることが大切です。
空き家が増え続ける問題も、適正に管理する民間の不動産会社の存在や、空き家を貸すことを不安に思う家主が安心できる借り手の情報を十分に提供することで解消される場合があります。行政は、地域のさまざまな情報発信を行い、住民と課題を共有することが重要です。その情報から住民との議論が深まり、真のまちづくりにつながるからです。
公費が無駄なく使われているか
こうしたまちづくりには、必ずお金が動きます。そのための議論には、正しい情報が必要です。例えば、住民のお金で公共施設をつくるときなら、「ほかの地域ではどのくらいの費用でつくっているか」「その自治体の財政状況からみて適切か」「金額に見合う地域への効果はあるのか」といった情報です。現状を把握した上で、データを使った分析を行います。比較できる数値があれば、住民も客観的に判断しやすいでしょう。これは都市か郊外かにかかわらず、必要な考え方です。一部の議員などの思惑で無駄に公費が使われる事態を防ぐことにもなるからです。
交通から地域を考える
例えば、京都はタクシーやバスが充実し便利な町ですが、慢性的な交通渋滞に悩まされています。理由の一つは、地域の特性として観光客が多いことです。この場合、バスの停車時間短縮のために、大型荷物を持ち込まないよう、預かりサービスや宿泊先などへの運搬代行サービスの宣伝を強化する、利用率に応じた便の増減、ルートの変更など、交通網を整備することで観光しやすくなり、渋滞解消の一助となるでしょう。まちづくりには、地域の実情を整理して、問題の根本的な原因を探る視点が必要です。
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先生情報 / 大学情報
京都産業大学 経済学部 経済学科 教授 倉本 宜史 先生
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