光ファイバーの新しい可能性
レーザーが変えた通信の世界
インターネットや電話など、情報通信の世界で用いられる光通信の光を届ける伝送路が「光ファイバー」です。光ファイバーは外径125ミクロンという髪の毛ほどの細さのガラス糸であり、高速かつ大量の情報を送れる点が特長です。現在の通信網の伝送容量は1秒間に40ギガビットで、新聞に換算すると、1秒間に40年分以上のデータ量が送信でき、しかも通信障害を起こすこともないのです。
こうした光ファイバーでの通信に利用されているのが「レーザー」と呼ばれる光です。レーザーはレンズを用いることで1点に集光できるため、エネルギーを集中させることができるのです。
夢の超大量、高速通信へ
一方でレーザーは1つの波長しか持たないという欠点があります。そこで1本の光ファイバーケーブルに複数の異なる波長のレーザーを乗せようという研究が進められています。「超高速光ファイバー」などと呼ばれているもので、これが実用化されれば驚異的な情報処理速度が可能になるだけでなく、さまざまな分野での応用が期待できます。
現在は光ファイバーに用いる素材の開発などが行われていますが、ファイバーの構造面での開発も重要で、レーザーと、それを閉じ込める光ファイバーの相互作用をいかに高めていくかが課題とされています。
光ファイバーが宇宙をも一新する!
光ファイバーの進歩は、私たちの暮らしをどう変えてくれるでしょう。1つは医療への応用です。光ファイバーを血管に入れ、内視鏡では不可能だった小さながん細胞を見つけようという研究がなされています。あるいは光で水の分子を振動させて焼き切るレーザーメスや、光を用いた身体の断層写真など医療技術としての光の利用も期待されています。そのほか環境面ではCO₂や排気ガスの検出に、さらには太陽光を用いたファイバーレーザーを衛星に乗せて宇宙に送ろうという壮大な構想も登場しています。
通信から発達した光ファイバー技術の進化への夢は膨らむばかりです。
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