バーチャル空間における人間の行動を科学する

バーチャル空間における人間の行動を科学する

バーチャル空間での人の行動

近年、再び注目を集めている「メタバース」とはVRゴーグルだけでなく、PCやスマートフォンなどを用いて複数人のユーザと空間を共有できる環境を指します。ユーザは3次元空間を自由に移動することができ、さまざまな活動をバーチャル空間内で行うことができます。現在でも音楽ライブや展示会などのイベントがバーチャル空間上で開催されていますが、そこでは現実世界では難しかった行動データ分析が容易になるため、マーケティング分野などで注目されています。例えば、近い将来、バーチャル空間上で商品のCGを手に取り、さまざまな角度から商品を見たり、大きさを確認したりするなど、あたかも実際の店舗で品定めをするような感覚で買い物することができるようになります。このときの行動データから、ユーザが商品のどこを気に入り購入に至ったのかが分かるようになる可能性があります。

行動と意図・感情を結びつける

実際の店舗で人間の動きを計測するためには複数台のカメラやセンサを用いた大規模なシステムが必要ですが、VRゴーグルを用いたバーチャル空間ではより簡単にそれらのデータを取得できます。VRゴーグルや付属のコントローラから取得した多次元時系列データ(身体の動き、接触したオブジェクトなど)をディープラーニングによってコンピュータに学習させることで、人間の行動と意図・感情を結びつけることができます。

研究に秘められた価値

コンピュータは大量のデータを高速に計算できる非常に便利な存在ですが、人間にとって決して使いやすいモノではありません。人間の行動から意図・感情などを理解できるコンピュータが登場すれば、より多くの人々がITの恩恵を受けられるようになり、情報格差や経済格差の解消に繋がります。また、バーチャル空間では地理的・身体的な制約が取り払われるだけでなく、精神的なハードルも下がるため、これまで以上に多くの人々が経済・社会活動に参加できるようになります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 中村 亮太 先生

武蔵野大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 中村 亮太 先生

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データサイエンス

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は現在のPCやスマートフォンはまだまだ不便であると考えています。もっとユーザの意図や気持ちが分かってくれば、より多くの人にとって便利なツールになります。そのためには人間のどのような言動に着目すればいいのかをコンピュータに教える必要があります。したがってこの研究では、人をよく観察し、その人の真意がどこにあるのかを探る姿勢が大切です。例えば身近な家族や友人と話しているとき、その表情や目の動きから仮説を立て、検証してみることも有効です。こうした鍛錬を早いうちから積むことは、大学での研究に役立ちます。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

武蔵野大学に関心を持ったあなたは

2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。