心の動きで体も変わる? 理学療法が支える日本の将来
座る時間が長いと早死にする!?
飛行機などで長時間同じ姿勢でいると「エコノミークラス症候群」になるという話を聞いたことがあるかもしれません。それだけでなく、最近の研究では、「身体活動量に関係なく、座っている時間の長い人ほど死亡率が高くなる」と言われています。長時間座るという行為は、筋力が衰えたり血管が圧迫されたりすることで体の代謝や循環、自律神経系に悪影響を及ぼすというわけです。たくさん運動していても、一日に6時間以上座っていると死亡リスクが高くなると報告されており、座って仕事をする職種の代表格であるIT関係の企業などでは、立ってパソコンを使えるスタンディングデスクを導入することも増えています。
健康寿命を伸ばそう
理学療法士はいわば姿勢と動作のプロです。そのためスポーツでの故障や脳卒中などで動かなくなった体のリハビリなどを行いますが、近年は地域の予防医療の場で、その技術を活用することも模索されています。座りっぱなしについても放置してはおけない問題です。
現代は医療技術の発達により、私たちの平均寿命はどんどん伸びています。特に日本人女性は世界で最も長生きです。ところが「自分は健康」と感じていられる「健康寿命」はさほど伸びておらず、言い替えれば多くの高齢者が、QOL(生活の質)が低いままに充実できない毎日を過ごしているかもしれません。
理学療法士は心理のプロでもあるべき
今、日本では少子高齢化が問題になっています。そのため国は、国民が病気やけがをせず健康的に生きられる「予防」に力を入れています。お年寄りは転倒からの骨折をきっかけに寝たきりになることもあり、普段からの運動が特に重要です。
また人の動きは、意外なほどに心理面に大きく影響を受けます。理学療法士の言い方ひとつで回復速度が変わったり、家族や周囲との人間関係が険悪になると、つまずきやすくなったりします。ですから、理学療法士は、体の仕組みのプロであると同時に、コミュニケーションで上手に相手を誘導する技術も求められるのです。
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四條畷学園大学 リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 准教授 北川 智美 先生
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