子育てを「幸せ」と感じられるように ~寄り添うセラピスト~
「寄り添って一緒に探す」のがセラピスト
子どもが育つ中で、保護者や子ども自身が問題を抱えた時、周囲の人やさまざまな専門家が手助けをしてくれます。臨床心理学、発達心理学を専門とするセラピスト、カウンセラーの支援もそのひとつです。その特徴は、解決方法を指導・指示するのではなく、その人の悩みや苦しみを理解しつつ一緒に方法を探したり、その人自身が解決方法を探すのを手伝ったりすることです。
まずは、話をよく聴いて整理する
子育て中の保護者は、「赤ちゃんが泣いて困っている」「離乳食を食べない」など、育てにくさに関連する悩みをしばしば持ちます。セラピストは、保護者(相談者:クライエント)から子どもの様子やその時にどう関わったかなどについて、具体的に話をよく聴いていきます。例えば、どういう時に泣くのか、授乳の状況や首がすわったのはいつ頃かなどというように尋ねるのです。その上でクライエントの状況や何が問題になっているのかを整理して、どういう関わり方がよいかを一緒に考えていきます。
一方、支援の対象が乳幼児の場合、子どもは自分のことを言葉で表すことが難しいので、遊びの中でそれを表現し、セラピストがそれを受け止める「プレイセラピー」という方法がとられます。
自分の性格に気づくことが変化につながる
クライエントと解決方法を見つける過程で大切なのは、クライエント本人が自分自身で問題を見つけられるような「気づき」をセラピストが促すことです。例えば、クライエント自身が、「こういうふうに考えやすい傾向なんだ」と自分の性格に気づくこと、すなわち自己理解が進むと、困りごとの解決が図りやすくなります。
自分自身への理解が深まると、それまでの考え方に変容が見られるようになり、子どもとの関わり方が劇的に変わり、やさしくなれたり、「まぁ、いいか」と少し楽になれたりします。セラピストは、専門家としてのさまざまなスキルを使いながら、子育てを「幸せ」と感じてもらえるように寄り添うサポーターなのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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先生情報 / 大学情報
甲南女子大学 人間科学部 心理学科 教授 畠山 美穂 先生
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