日本のマンガ・アニメ文化はどこへ行くのか?
日本のマンガ・アニメ文化の特徴とは?
日本のマンガ文化は雑誌メディアを基盤に、「少年向け」「少女向け」「青年向け」「女性向け」と送り手側が年齢と性別でジャンルを細分化し、描かれるテーマや表現方法もそれぞれ独自の傾向を持つ方向で発展してきました。一方、マンガと結びつきが強いテレビアニメも、年齢、性別を超えて誰でも観ることができるメディアであるテレビで放送されているにもかかわらず、雑誌やマンガと同様にターゲットの年齢や性別が設定されてきたといえます。
受け手にも、作り手にも変化が
こうした送り手側の設定に対して、これまでは読者・視聴者の多くがその枠組みに沿ってきましたが、近年の顕著な傾向として、「女性が少年マンガを読む」ことが当たり前になったことが挙げられます。このほかにも、「大人が少年マンガを読む」「男性が少女向けアニメを観る」など、受け手側に大きな変化が見られるようになってきました。
一方、作り手側である少年マンガの描き手も女性読者を意識するようになりました。そして、少女マンガから青年マンガに転向する女性作家や、少年誌でデビューする女性のマンガ家も増えてきました。このように作り手側にも変化が生まれています。
「少年向け」「少女向け」という枠組みの変容
また1つの原作をマンガやアニメ、小説、映画、ゲームなど複数のメディアで同時に展開するメディアミックスという手法が広がったことも顕著な傾向です。テレビアニメの深夜枠の増加もこれに連動しており、一定以上の年齢層を対象にしながら受け手の性別を限定しない作品が増えました。
つまり、作り手も受け手も従来のジャンルを超えることが当たり前になった結果、描かれる作品のテーマや表現方法が変化し、これまでの雑誌文化を基盤にした「少年向け」「少女向け」といった枠組みも変容してきているということです。このように、マンガやアニメをきっかけに社会、ビジネス、表現、さらに消費者の変化など多様な側面を分析・考察していくことで、世の中の有り様を知ることもできるのです。
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先生情報 / 大学情報
甲南女子大学 文学部 メディア表現学科 教授 増田 のぞみ 先生
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