女性ファッション誌は、女性の生き方までも描き出す
「大人女子」って、実は変な造語かも?
最近、雑誌やテレビなどで「大人女子」「大人カワイイ」という言葉をよく目にすると思います。「大人」と「女子・カワイイ」というのは、本来は相反する意味の言葉が一緒になった造語です。この言葉に注目して、現代の女性が求めているものは何なのか、その背景を女性ファッション誌の分析から探ってみましょう。
「大人女子」「大人カワイイ」という表現は、2000年頃のファッション誌から使われ始めました。これは男女雇用機会均等法の施行(1986年)から10年以上の時を経て、ようやく女性たちが肩ひじを張らずに仕事ができるようになったことの現れです。
個人としての「私」が意識されるように
この時代は、女性たちが、「結婚・出産して家庭に入る」「出産後も仕事を続ける」「結婚せずにキャリアを積む」など多様なライフコースをたどるようになってきた時期でもあります。90年代以降、さまざまなタイプの女性ファッション誌が創刊されました。これは女性の生き方とファッションや化粧、美容などが密接につながっているからです。また、それだけにとどまらず、読者は従来の「こうならなければならない」「何歳だから○○すべきだ」などの規範意識から離れ、個人としての「私」を意識するようになりました。そこに「女子」や「カワイイ」という言葉がうまくあてはまり、今ではドラマのタイトルにまでなるほどに市民権を得ました。20代の女性も40代の女性も「求める美」の基準が「カワイイ」である点では差がなくなっているのです。
社会学で女性ファッション誌を分析する
自分が結婚、出産、働き方をどう選択していくか、まだ漠然としているかもしれませんが、多様な女性ファッション誌を「社会学の目」で分析することで、こういう生き方があるとか、自分もこうなりたいとか、今の女性が直面している問題が浮き彫りになってきます。女性ファッション誌は、ファッションの流行を伝えるだけではなく、女性のライフコースや生き方そのものを伝えているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
甲南女子大学 人間科学部 文化社会学科 教授 米澤 泉 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
ファッション文化論、化粧文化論先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?