地域活性化につながるデータサイエンス
データサイエンスの強みとニーズ
統計手法を用いてデータを解析し、政策の提言につなげるEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)において、産官学の連携が活発になっています。データサイエンスは医療や教育、観光やまちおこしなど、課題を抱えるさまざまな分野と連携した「異分野融合研究」ができるのが大きな強みであり、「データサイエンス×〇〇」の研究に対するニーズも高まっています。
「データサイエンス×まちおこし」
石川県金沢市の中心部にあるK商店街は、おしゃれで個性的な店が並ぶファッションストリートとして地元の若者カルチャーを先導してきましたが、近年は以前ほどのにぎわいがなくなってきました。そこで通信事業者が提供する通行人データを確認すると、意外な事実がわかりました。高齢者向けの店が少ないにもかかわらず、若者と同じぐらいに高齢者の往来があったのです。データサイエンスを使って、さらに通行人の性別や居住エリアや滞在時間などを細かく分析し、SNSの口コミなどの定性データと照らし合わせることで、「K商店街に求められるもの」や「まちおこしにつながるヒント」があぶり出されることが期待されます。
分析前に「使えるデータ」にする
データ分析を進めるうえでは、まずデータを「整える」ことが重要です。例えば「データサイエンス×医療」のケースで、ある自治体が市民の健康増進を図るために、市民の健康診断データを活用しようと考えました。まずは個人情報を取り除きつつ1件ずつ個別に扱えるように、特殊な関数を用いてデータを不規則な文字列に変換する「ハッシュ化」が行われました。さらに健康診断の問診票の内容や、健康保険が使われた項目や金額など、多岐にわたるデータの様式を整えて横断的に分析できるデータ基盤が構築されました。
このように、豊富なデータを持っていても「分析の手法がわからない」という自治体や公共団体と、データサイエンスの研究者が連携することで、地域活性に資する知見が導き出されるのです。
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先生情報 / 大学情報
金沢大学 人間社会学域 経済学類 講師 原田 魁成 先生
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