性格は変えられない。でも行動は変えられる!
求められる「プロアクティブ」な人材
企業が求める人材像が変わってきています。それを端的にいうなら、「指示待ち族からプロアクティブ人材へ」と言えるでしょう。言われた課題をこなすだけの人材では企業は勝ち残れません。必要なのは自ら問題を見つけて解決したり、先を読んで自発的に行動したりする「プロアクティブ」な人材なのです。社員でなくアルバイトも、そうした働き方のできる人が求められています。
働く人を調査した結果によれば、プロアクティブな人材になりやすい要因として、「積極的に物事を改善しようとする性格」や「コミュニケーション力など対人スキルの高さ」などがあります。では、性格でプロアクティブになれるかどうかは決まってしまうのでしょうか。
性格ではなく行動を変える
「組織行動論」の研究では、「もともとの性格を変えるのは難しいけど行動なら変えられる」ということがわかっています。例えば朝が苦手な人は、仲間との勉強会を朝に設定してしまえば、約束を破るわけにはいかなくなります。ルールを決めて行動を習慣化すれば、目標を実現できるのです。つまり、良い意味で、行動をルールで縛ってしまおうというわけです。また、役者は訓練によって自分の性格とは違う役を演じることができるようになります。これらを実践すれば、引っ込み思案な人も立派なリーダーになれるでしょう。性格を考えるとできないような行動でも、マニュアル化したり訓練の仕方を工夫したりすれば、できるようになるのです。
モデリングで憧れの人に近づく
自分の行動を意図的に変えるとき、誰かをまねるやり方を「モデリング」と呼びます。自分にとっての理想像に近い憧れの人を見つけ出し、その人の行動をまねるのです。その人だったらどう行動するだろうかと考え、ふるまうことで、考え方そのものも憧れの人に近づいていきます。企業で将来の社長候補には、今の社長の秘書的な役割をさせることがあります。その狙いは、モデリング効果によって、現社長の思考や行動のパターンを身につけてもらうことにあるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都大学 経済学部 教授 関口 倫紀 先生
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