生命力の根源を育てる
遊びを通して「学び」「育つ」
幼少の頃に活発に遊び抜いた子どもには、生命力の根っこが育っています。人間を樹木にたとえると、葉や実は学力、そこに栄養を運ぶ幹は課題を解決する能力、そしていちばん大切なものが自分を支える根です。根を育てることが、生きる力を強くすることになります。しかし現代では、命の根源がやせ細ってしまっています。これは高度経済成長期から子どもの遊びや地域生活が大きく変化したことが原因でしょう。かつては、一人でも仲間とでもさまざまな遊びを集中して遊び込むことによって、考えて工夫しやり抜く経験を重ねて子どもは「学び」と「育ち」を獲得していましたが、今はそれが少なくなってしまいました。豊かな子どもの生活を取り戻すためには、昔に回帰するのではなく、新しい時代に即した地域のつながりをつくり上げなければなりません。
学校と地域が連携して「共育」する
子どもたちを育てる地域の力とは、子どもと地域住民の関わりの豊かさにほかなりません。例えば地域の人たちと一緒に街づくりをしていくなかで、子どもたちは経験を重ね育ちます。また、現在の学校は、授業以外の職務が多く入り込んでいて、機能が肥大化しすぎています。そこで例えば部活動や特別活動はスポーツクラブや公民館などの地域教育と連携させて、学校はもっと授業に集中する方策が考えられるべきでしょう。
そのためには、地域と学校が信頼し合わなければなりません。まず、地域と学校が交流して学校の問題や地域の課題を話し合える場を作ることから始めます。その際には、学校と地域との架け橋となるコーディネーターが必要で、また、定年を超えた経験ある世代と保護者や青年が協働することが理想です。こういった地域に根ざした市民と学校とが連携して子どもたちを育てようという取り組みが、すでに全国各地で行われています。「子どもたちは地域の宝だ」という考えで子どもたちを支えていく「共育」する仕組みを、それぞれの地域でつくろうとしているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。