モノの変形と破壊を知って安全をつくる
モノづくりのためにモノを壊す
眼鏡のフレームを曲げてしまったことはありませんか。携帯電話を落として画面を割ってしまったことはありませんか。私たちの身の回りには、さまざまなモノの変形や破壊といった現象があふれています。ある材料でできたモノに、どのくらいの力をどんな方向でかけると、どのように変形して壊れるか、を扱うのが、材料力学・破壊力学という学問です。材料の変形や破壊現象を理解することではじめて、壊れにくい安全なモノをつくることができるようになるため、機械や航空宇宙などをはじめとした幅広いモノづくり分野において、必須の学問とされています。
破壊といってもさまざま
材料力学・破壊力学では、材料をつくっては引っ張ったり、曲げたり、ねじったりして、その特性を探ります。金属やセラミック、プラスチックなど、取り扱う材料もさまざまです。例えば、キャラメル一つをとっても、少し冷やして壊すのと少し温めて壊すのでは壊れ方が全く違うように、同じ金属材料でも使用環境によって、突然ポキっと折れることもあれば、長い時間をかけてじわじわと壊れることもあります。そのため、材料が実際に使用される状況を想定して、1000℃を超える高温や-200℃近い低温、または、衝突により何トンもの力がかかる場合や小さな力が何十万回も繰り返しかかる場合など、いろいろな条件下で検討を行います。材料の本質に迫るために、目に見えるスケールだけではなく、顕微鏡やシミュレーションを用いてマイクロ・ナノスケールでの変形・破壊を調べることもあります。
すべては安全・安心のために
自動車や鉄道、電化製品などをはじめとした日本のモノづくりは、安全性・信頼性において世界に誇る技術を有します。安全なモノに囲まれてはじめて、私たちは安心して日々の生活を送ることができます。安全なモノづくりと安心な社会、これらを縁の下で支えているのが材料力学・破壊力学なのです。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 工学部 機械工学・システムデザイン学科 准教授 荒木 稚子 先生
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材料力学、破壊力学先生が目指すSDGs
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