講義No.09077 機械工学

モノの変形と破壊を知って安全をつくる

モノの変形と破壊を知って安全をつくる

モノづくりのためにモノを壊す

眼鏡のフレームを曲げてしまったことはありませんか。携帯電話を落として画面を割ってしまったことはありませんか。私たちの身の回りには、さまざまなモノの変形や破壊といった現象があふれています。ある材料でできたモノに、どのくらいの力をどんな方向でかけると、どのように変形して壊れるか、を扱うのが、材料力学・破壊力学という学問です。材料の変形や破壊現象を理解することではじめて、壊れにくい安全なモノをつくることができるようになるため、機械や航空宇宙などをはじめとした幅広いモノづくり分野において、必須の学問とされています。

破壊といってもさまざま

材料力学・破壊力学では、材料をつくっては引っ張ったり、曲げたり、ねじったりして、その特性を探ります。金属やセラミック、プラスチックなど、取り扱う材料もさまざまです。例えば、キャラメル一つをとっても、少し冷やして壊すのと少し温めて壊すのでは壊れ方が全く違うように、同じ金属材料でも使用環境によって、突然ポキっと折れることもあれば、長い時間をかけてじわじわと壊れることもあります。そのため、材料が実際に使用される状況を想定して、1000℃を超える高温や-200℃近い低温、または、衝突により何トンもの力がかかる場合や小さな力が何十万回も繰り返しかかる場合など、いろいろな条件下で検討を行います。材料の本質に迫るために、目に見えるスケールだけではなく、顕微鏡やシミュレーションを用いてマイクロ・ナノスケールでの変形・破壊を調べることもあります。

すべては安全・安心のために

自動車や鉄道、電化製品などをはじめとした日本のモノづくりは、安全性・信頼性において世界に誇る技術を有します。安全なモノに囲まれてはじめて、私たちは安心して日々の生活を送ることができます。安全なモノづくりと安心な社会、これらを縁の下で支えているのが材料力学・破壊力学なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

埼玉大学 工学部 機械工学・システムデザイン学科 准教授 荒木 稚子 先生

埼玉大学 工学部 機械工学・システムデザイン学科 准教授 荒木 稚子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

材料力学、破壊力学

先生が目指すSDGs

メッセージ

機械工学・システムデザイン学科ではモノづくりの基本から応用までを学びます。私たちの研究室では、力をかけたときにモノがどのように変形し、どのように壊れるかということを研究しています。なぜこんな研究が必要かというと、モノが壊れることを理解して初めて、壊れないモノ、安全なモノをつくることができるようになるからです。地味ですが奥深い世界です。今高校であなたが勉強していることは、すべての分野における基礎になりますのでしっかり学んでください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

埼玉大学に関心を持ったあなたは

埼玉大学は、総合大学として有為な人材を育成する、首都圏大学として社会とリンクし還元する、世界に開かれた大学として国際交流を推進する、の3つが特色です。TOEIC600点を目標に画期的な英語教育を実施しています。学生諸君が、高度な専門知識に加えて幅広い教養と国際感覚を持ち、社会に貢献することができる市民・職業人に成長できるよう、教育上のさまざまな工夫を施しています。