GDPとその三面等価
GDPとは
一国の経済規模の大きさ、あるいは経済が成長しているかどうかはどのようにして測るのでしょうか。私たち自身の成長を身長や体重の変化で測るように、経済学は一国の「国内総生産」の大きさと変化で一国経済の規模と成長を計測しています。国内総生産は英語でGross Domestic Productといい、その略称である「GDP」を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
GDPは国連などの国際機関で作成される国際基準(SNA:System of National Accounts 日本語訳:国民経済計算)によって定義されています。所得水準や経済成長率などの国際的な比較を行い、各国の経済の実態を明らかにするために、GDPを含め、国民経済計算は世界中のほとんどの国で作成・公表される経済統計です。
GDPの生産とは
GDPの生産境界をめぐっては、さまざまな批判があり、また多くの誤解も存在します。例えば、アメリカ発祥の話のようですが、ある資産家が彼女の執事と結婚したとします。そして、結婚後も彼女の夫は以前と同様に彼女に仕え、彼女も以前と同様に(ただし賃金としてではなく夫への贈与として)彼へお金を渡します。この結婚はGDPにどう影響を及ぼすでしょうか。
GDPの三面等価
企業などが生産したものは誰かが買っています。つまり、生産量が増えるということは、支出量も増えることを意味します。また生産物が購入された時、その利益は労働者や企業の所得となります。つまり、生産量が増えるということは所得が増えるということを意味します。一国経済を俯瞰してみた場合、生産された財・サービスは、誰かによって支出され、誰かの所得になっていると考えることができます。所得が増えると支出が増え、生産が増えるというように(逆方向に)説明することもできます。GDPの国際基準であるSNAでは、GDPが「生産」「所得」「支出」の3つの面から等しくなることを、産業連関表という経済統計を使って表現・計測することを勧めています。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 経済学部 経済分析メジャー 教授 李 潔 先生
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