講義No.10356 経済学

GDPとその三面等価

GDPとその三面等価

GDPとは

一国の経済規模の大きさ、あるいは経済が成長しているかどうかはどのようにして測るのでしょうか。私たち自身の成長を身長や体重の変化で測るように、経済学は一国の「国内総生産」の大きさと変化で一国経済の規模と成長を計測しています。国内総生産は英語でGross Domestic Productといい、その略称である「GDP」を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
GDPは国連などの国際機関で作成される国際基準(SNA:System of National Accounts 日本語訳:国民経済計算)によって定義されています。所得水準や経済成長率などの国際的な比較を行い、各国の経済の実態を明らかにするために、GDPを含め、国民経済計算は世界中のほとんどの国で作成・公表される経済統計です。

GDPの生産とは

GDPの生産境界をめぐっては、さまざまな批判があり、また多くの誤解も存在します。例えば、アメリカ発祥の話のようですが、ある資産家が彼女の執事と結婚したとします。そして、結婚後も彼女の夫は以前と同様に彼女に仕え、彼女も以前と同様に(ただし賃金としてではなく夫への贈与として)彼へお金を渡します。この結婚はGDPにどう影響を及ぼすでしょうか。

GDPの三面等価

企業などが生産したものは誰かが買っています。つまり、生産量が増えるということは、支出量も増えることを意味します。また生産物が購入された時、その利益は労働者や企業の所得となります。つまり、生産量が増えるということは所得が増えるということを意味します。一国経済を俯瞰してみた場合、生産された財・サービスは、誰かによって支出され、誰かの所得になっていると考えることができます。所得が増えると支出が増え、生産が増えるというように(逆方向に)説明することもできます。GDPの国際基準であるSNAでは、GDPが「生産」「所得」「支出」の3つの面から等しくなることを、産業連関表という経済統計を使って表現・計測することを勧めています。

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先生情報 / 大学情報

埼玉大学 経済学部 経済分析メジャー 教授 李 潔 先生

埼玉大学 経済学部 経済分析メジャー 教授 李 潔 先生

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産業連関経済学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が専門としている産業連関分析とは、ひとことで言えば、産業連関表という経済統計を使用してさまざまな分析を行うことです。日本の産業連関表は精度も種類も、また分析利用の豊富さも一流で、世界から高い評価を受けています。オリンピックや新空港などの経済波及効果を算出することや、GDP推計の基礎資料を提供することなど、産業連関表の応用範囲は非常に広いですが、私は主に購買力平価の推計や生産性の国際比較などを行ってきました。ここ十数年、その延長線として、中国のGDP推計方法を日本と比較しながら研究を行っています。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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埼玉大学は、総合大学として有為な人材を育成する、首都圏大学として社会とリンクし還元する、世界に開かれた大学として国際交流を推進する、の3つが特色です。TOEIC600点を目標に画期的な英語教育を実施しています。学生諸君が、高度な専門知識に加えて幅広い教養と国際感覚を持ち、社会に貢献することができる市民・職業人に成長できるよう、教育上のさまざまな工夫を施しています。