開発途上国のゴミが資材に生まれ変わる仕組みを作る
深刻化する途上国の環境問題
現在、開発途上国は多様な環境汚染問題を抱えています。被害がわかりやすい大気汚染、水質汚染については、以前から対策が講じられてきていました。しかし土壌汚染に関しては、実態が見えにくい面があり、対策が遅れています。途上国の経済成長にともない、ゴミ問題も深刻化しており、処理しきれず処分場に放置された有害廃棄物からの汚染物質などにより、土壌や地下水の汚染が進行しているのです。
日本が協力できる環境対策
日本は、環境問題に直面している途上国に対して、技術的な援助を行っています。例えばベトナムでは、都市部の開発が進み、建設ラッシュが起こっていますが、同時に、解体された建築物の廃材処理が問題となっています。大都市では1日3000トンもの建設廃棄物が発生し、処理能力を超えてしまっています。それらをリサイクルし、道路の路盤材など、新たな資材として再生するという計画が進んでいます。また、軽量気泡コンクリートは多孔質な構造をしていて重金属を吸着する作用があるので、廃材を水質汚染の改善に利用できます。ベトナムでは、こうした対策の下、2025年までに建設廃棄物リサイクル率60%の実現を目標としています。そこに、日本が技術と経験を生かして協力しているわけです。
めざすはゴミの地産地消
しかし、本当に大事なのは、自国の技術で処理していけるような仕組みづくりをすることです。まずは、「低コスト、低メンテナンス、低環境負荷」で成立するようなビジネスモデルを構築する必要があります。
そのためには、ゴミ処理やリサイクルのガイドラインづくりにあたっても、日本のガイドラインをそのまま適用するのではなく、現地の実情に合い、定着するようなものを、現地の人たちを中心に作っていくことが大切です。自国の人たちが自国の技術で継続していけるリサイクル、それは、地域のゴミを地域内で処理するという「ゴミの地産地消」につながっていきます。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 工学部 環境社会デザイン学科 教授 川本 健 先生
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