調査方法によって結果が変わる? 世論調査結果をどう読む
電話調査の方が本音を言いやすい?
新聞社やテレビ局などのマスメディアが実施する世論調査には、調査対象者に対面して質問する「面接法」と、調査対象者が音声ガイダンスに従って自分で回答する「電話法(RDD方式)」の2つがあります。
同じ調査内容でも、電話法の方が、賛否の差がはっきりした回答が得られる傾向が強くなります。例えば、内閣の支持率の調査では、電話法だと、人気のある内閣ほど「支持する」の割合が高くなり、不人気な内閣ほど「支持しない」の割合が高くなる傾向があります。見知らぬ調査員とフェイス・トゥ・フェイスで回答する面接法に比べ、オペレーターとのボイス・トゥ・ボイスで回答する電話法の方が率直に意見を表明しやすいためだと考えられます。
「どう質問するか」で調査結果は異なる
複数のメディアが同じ内容の調査を行った場合も、調査結果に差が出ます。内閣支持率などの調査だと、「政権寄りか否かといったメディアの姿勢が影響しているのでは?」と思われがちですが、実は、多くの場合、調査結果の違いは、質問の仕方の違いによるものなのです。
例えば、「内閣を支持するか」という質問に対し、「わからない」という回答があった場合、この層をそのまま残すか、あるいは「どちらかと言えば」という条件をつけて絞り込むかの違いによっても、支持・不支持の割合は変わってくるのです。
複数の調査を比べて見えることもある
このように、世論調査の結果は、調査の方法によって異なります。したがって調査結果を見る時には、どんな方法で調査をしたかという点もきちんと確認する必要があります。ちなみに、同じ内容の調査を複数のメディアが行い、その調査結果に同じ傾向が見られない場合、その調査結果は役に立たないというわけではなく、実は、そこから「国民はまだ意思を決めかねている」ことがわかります。つまり、1つの調査結果だけではわからないことも、複数の調査結果を比べることで新たに見えてくるものもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 社会調査研究センター 教授 松本 正生 先生
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