講義No.12203 メディア学

私という人物をどう伝えるか~自己紹介から映像メディアを考える

私という人物をどう伝えるか~自己紹介から映像メディアを考える

自分のことをどのように表現するか

知らない人との初めての集まりや面接試験では、自己紹介を求められることがあります。あなたは自分のことを、どのように表現しますか? 自己紹介として、いくつもの「趣味」や「推し」を話す人がいますが、それらをたくさん並べたとしても自分自身を紹介できたことにはなりません。また、自分の特徴について「私はコミュニケーション能力が優れています」「感受性が豊かな人間です」と言ったとしても、初めて会った人には、それがどの程度のものなのかは伝わりません。ではどうすればいいのでしょうか?

自己紹介に他人の視点を取り入れる

単に好きなものを並べ立てたり、本人が自分自身を評価したりするだけでなく、そこに「他人」の軸を加えると、自分の特徴が伝わりやすくなります。例えば、「部活でトラブルがあったが、周りの人とのこのようなやりとりで困難を解消した」というような誰かが絡む具体的なエピソードを挿入する、あるいは、家族や友人などが自分に宛ててくれた手紙の内容を紹介してみる、といった手法が考えられます。決められた短い時間の中で、他人の視点を取り入れながら、いかに自分語りができるのかが、自己紹介にとって重要な鍵になるのです。

映像メディアの特徴とは

実は、映像メディアの作り方も自己紹介と同じ構造になっています。訴えたいテーマに対して、より具体的なエピソードを挿入し、さらにエピソードを映像にして見せることで、視聴者に伝わりやすくしているのです。人物の紹介をする場合に、どんな表情でどんな声をしているのかという、その人の雰囲気を伝えるポテンシャルは、活字メディアよりもテレビ番組のような映像メディアの方が高いと言えます。そういったテレビ番組の特性は、ドラマや音楽番組において情感を伝える時にも発揮されています。伝えたいテーマを的確に伝えるためには、メディアごとの特性を踏まえた上で、それに合わせたコンテンツを作成することが重要で、そこにとっておきの自己紹介ができるようになる鍵があるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

上智大学 文学部 新聞学科 教授 水島 宏明 先生

上智大学 文学部 新聞学科 教授 水島 宏明 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会学、新聞学、テレビ表現学、メディア学

先生が目指すSDGs

メッセージ

新聞学科と聞くと古臭いイメージを持つかもしれませんが、メディアやジャーナリズム全般を扱う学科です。あなたがInstagramやTikTokなどで発信したいと思っているなら、それも一つのメディアでありジャーナリズムに関係しています。メディア自体が大きく変化する現在、メディアとして発信する経験はどの仕事でもとても大事で、将来どの職業に就くにしても役に立つ学びです。自分自身の持つユニークな感受性や問題意識が価値を生む時代になっています。本学の新聞学科を選択肢として選んでもらえると嬉しいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

上智大学に関心を持ったあなたは

日本初のカトリック大学として開学し、創立当初から国際性豊かな大学として、外国語教育に重点を置いてきました。留学制度も充実しており、世界約80ヶ国に390校以上にも及ぶ交換留学・学術交流協定校があり、コロナ禍の2020年度、2021年度を除き、毎年約1,000人の学生が世界の様々な国や地域へ留学しています。また、少人数教育も本学の伝統のひとつです。教員と学生の距離が近く、また学生同士が率直に意見を交し合う、きわめて理想的な教育環境が整っています。他者を思いやり、社会に奉仕できる人材を育成します。