もっとどろんこ遊びを! 造形表現活動を通した子どもの人間形成
感性や知性を育むものづくり・遊び
子どもたちは造形表現活動を通して、さまざまな側面から成長します。しかし、市販のおもちゃは、遊び方の決まった単一機能であることが多く、子どもはいわば「遊ばされている」状況です。それが自分でおもちゃを作るとなると、材料や仕組みを一から考えるので、素材(材料)について直接触れる体験や作るプロセスで美的、科学的な側面の資質・能力も養われます。また、子どもが対象に働きかけることで、想像力が豊かになり、感性も育まれます。特別な材料は必要ありません。葉っぱやどんぐりなどの自然材や紙やストローなどの身近な物で十分なのです。
どろんこ遊びのための「スーパークレイ」研究
最近の小学校の図工の授業は、主に視覚的な側面の資質・能力を育てる内容に焦点が当てられ、触覚的な経験する機会が減っています。しかし、実際には具体的な事物に触れて物事を認知する子どもたちが多く存在します。そこで子どもたちに豊かな触覚経験を提供する必要が生じます。具体的には、「土」の環境の改善などです。どろんこ遊びで感じるにゅるにゅるの経験は、子どもたちに「気持ちいい」という幸福感を与えてくれます。ところが新しく造成された園や学校では、理想的などろんこ遊びができないところが増えています。水はけのよいグラウンドは、土の粒子が粗いため、どろんこ遊びをするという観点からは十分ではありません。そこで土遊びに最適な土を開発し、子どもたちのいる環境へ普及させようという研究が進んでいます。
文化や文明を生み出す「遊び」の重要性
人間は、ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)とも定義されます。それは、遊びは文化や文明を生み出す高次な活動ととらえられているからです。遊びを通じて、体験を共有することでお互いの理解や絆が深まり、人間関係の構築にもつながります。多様性の時代においては、自分の頭で考えて判断し、人と関わっていく力がますます必要とされます。そうした観点からも、五感を使った創造的な子どもの遊び体験が求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
同志社女子大学 現代社会学部 現代こども学科 教授 竹井 史 先生
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