「言葉」をデータ化して、ビジネスや福祉に役立つ指標を得る

「言葉」をデータ化して、ビジネスや福祉に役立つ指標を得る

ビジネス指標として「言葉」にも注目

ビジネスでは、売上高、来店客数などの「数値」が大切な指標になります。これらの数値を分析することで、人気の商品や主な客層を知り、ビジネスに役立てることができるからです。
一方、「言葉」に注目することも一つの方法です。例えば、人気のCMではどんな言葉が使われているか、商品に対するインタビューや記述式のアンケートではどんな言葉が出てくるのかに注目して、商品開発や宣伝の参考にするのです。

言葉をデータ分析する

言葉をビジネスに活用しようとするとき、インターネット上の「口コミ」の言葉をデータ化する方法があります。最もシンプルなのは、ある商品やサービスについての「口コミ」を収集し、多く使われている単語を見つけて解析する方法です。例えば、あるお茶ペットボトルの新商品について、星を5つつけた高評価のユーザーの口コミと、逆に星を1つしかつけなかった低評価の人の口コミにどんな言葉が多いのかを調べ、データ化するのです。高評価のユーザーの口コミに「抹茶」という言葉が多く、低評価のユーザーの口コミに「苦い」が多いとすると、この商品の何が支持され、どこが支持されていないのかといった指標を得ることができます。
もちろん、評価別に限らず、男女別、年齢別、居住エリア別など多様な視点でデータ化することが可能です。

ビジネス以外でも活用

こうした言葉のデータ化は、ビジネス以外のジャンルでの活用も期待されています。例えば、介護や看護の現場です。患者や介護を受けている人が、どんな言葉で元気になりやすく、どんな言葉で落ち込みやすいのかという視点で言葉をデータ化すれば、看護師や介護者が患者とコミュニケーションをとるときの一つの指針となります。それを家族と共有すれば、本人にとっても家族にとっても有用な情報になります。
私たちが何気なく使っている「言葉」ですが、そのデータ化には幅広い活用が展望できるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

武蔵大学 経済学部 経営学科 教授 荻野 紫穂 先生

武蔵大学 経済学部 経営学科 教授 荻野 紫穂 先生

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情報処理学、言語学

メッセージ

言葉のデータを扱うには、言葉を単語数や文の長さなどの数値に置き換えて、分析することになります。この数値に置き換える作業のために、かつては自分でプログラミングをしなければなりませんでした。最近ではフリーのソフトウェアが公開されており、誰でも言葉のデータを分析できる環境が整ってきています。
言葉のデータの扱いは、社会科学の分野では、まだ適用が始まったばかりです。ぜひ、あなたと一緒に、言葉のデータから役に立つ知見を発見していきたいと思います。

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武蔵大学の特長は、充実したゼミ教育にあります。平均13名の少人数で開講されるゼミは、約400種類。1年次からゼミや少人数形式の授業がスタートします。グローバル教育にも注力しており、参加体験型学習スペースMCV(Musashi CommunicationVillage)をはじめ、外国語学習やグローバル体験ができる環境を整備しています。
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