人間と機械の間をつなぐ、ヒューマン・インターフェイスとは?

人間と機械の間をつなぐ、ヒューマン・インターフェイスとは?

人間と外界との間でやりとりされる情報

情報というものは、文字や映像によって表現されたものだけを指すのではありません。人間が、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚という「五感」などを通じて外界から受け取ったり、自分の身体や声を通じて外界に伝えたりするもの、それらもまた情報であるといえるでしょう。
これらの情報をやりとりして人間と外界の間をつなぐものを、「ヒューマン・インターフェイス」と呼びます。私たちの身近にある例では、自動車のハンドルやペダル、速度計などはまさにそうですし、パソコンのディスプレイ画面やキーボード、マウスなども、典型的なヒューマン・インターフェイスです。

調べてみると奥が深い、人間の感覚特性

ヒューマン・インターフェイスの研究では、人間の感覚特性をしっかりと調べ、それらを理解した上でどのように活用していくのかを考える必要があります。人間の感覚は、時に私たちが想像もつかないユニークな挙動を示すことがあるのです。
例えば、床に縞(しま)模様が流れる映像をプロジェクターなどで投影し、その上を直角に横切るように人に歩いてもらうと、まっすぐ歩いているつもりが、流れにつられて、流れの方向に寄っていってしまいます。また例えば、スマートフォンの左右に握れるようなスイッチをつけ、握ると画面内に柔らかくたわむような映像が映るようにすると、まるでスマートフォン自体が柔らかくなったと錯覚するようになります。人間の感覚特性には、わからないことがまだまだたくさんあるのです。

新しい形の楽しさや便利さをもたらすもの

ヒューマン・インターフェイスの研究は、今後さまざまな分野への応用が期待されます。運動の補助による健康の促進や障がい者のサポートはもちろん、スポーツやエンターテインメントの分野などで、新しい形の楽しさを伝える役割も考えられるでしょう。思いがけない斬新な発想が、今までにない情報のやりとりを生み出すかもしれないのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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電気通信大学 情報理工学域 I類(情報系) メディア情報学プログラム 准教授 野嶋 琢也 先生

電気通信大学 情報理工学域 I類(情報系) メディア情報学プログラム 准教授 野嶋 琢也 先生

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情報メディアシステム学

メッセージ

私はバーチャル・リアリティやヒューマン・インターフェイスの研究をしています。これは、人の特性を調べて、それを人と機械とをつなぐ技術として生かしていく研究です。とても面白い研究なのですが、その面白さは実際に体験してもらわないとなかなか理解してもらえません。「百聞は一“験”に如かず」。人に聞いたりインターネットで調べることも大事ですが、一度の体験で多くのことを理解することができます。高校生のあなたには、いろいろなことをどんどん体験して、自分が面白いと思えることを追究していってほしいと思います。

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電気通信大学は、東京にある理工系国立大学で、「工学」と「理学」のうち、特に情報分野および理工分野を核とした教育研究を行っています。先端科学技術を支える全分野、例えば、情報、通信、電子、知能機械、ロボティクス、光科学、物理、量子、化学、物質、生命などの分野を網羅しています。社会で活躍する人材の育成をめざし、ものづくりに意欲を燃やす学生の期待に応える教育環境を提供します。