国境を越える人たち

国境を越える人たち

なぜ人々は国境を越えて移動するのか?

世界では、仕事を求めて、あるいは戦争や政治的混乱から逃れるために、多くの人々が国境を越えて移動しています。男性だけではなく、女性も国境を越えています。父親も母親も、そして子どもも国境を越えて移動しています。私たちが暮らす日本にも、たくさんの外国人がいます。労働者や学生として生活する人もいれば、母国の状況が悪化して難民として日本に逃げてくる人もいます。

祖国から逃れるミャンマーの人々

東南アジアのミャンマーは、長く軍事政権の時代が続いて来ました。民主化を求める声は弾圧され、野党が自由に活動できなくなっていました。しかし、2011年から少しづつ状況が変わり始め、民政移管への流れが進んできました。2016年には文民政権へと政権交代が実現します。この時期、かつて難民として日本を含む国外に逃れた人たちも、母国に戻る動きが見られました。ところが、政権が二期目に入る矢先の2021年に、再びクーデターが発生して軍事政権が復活しました。最近では徴兵制も導入されて、ミャンマーから国外に逃れようとする人たちも増えています。
日本にも、2021年のクーデター以降、多くのミャンマー人が逃れてきています。しかし、日本で難民として保護を受けることは容易ではなく、その多くは緊急避難措置などで一時的な滞在を許可されているのが現状です。

日本、そして世界への影響と未来

日本では難民として保護を受けることは決して容易なことではありません。しかし帰国できない人々が国内に数多く滞在している現実を無視することもできません。滞在が長期化する中で、年齢を重ね、ライフコースの変更を余儀なくされるミャンマー人も少なくはないのです。国境を越えて移動する外国人をどのように受け入れ、社会の一員としてどう共に生きていけるのか。これからの日本、そして世界の未来を考える上で避けては通れないテーマとなっています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

武蔵大学 社会学部 社会学科 教授 人見 泰弘 先生

武蔵大学社会学部 社会学科 教授人見 泰弘 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

国際社会学

メッセージ

あなたの日常生活は、すでに世界としっかりつながっています。例えば、あなたが着ている服のタグをみてください。カンボジアやバングラデシュなど東南アジア・南アジアで作られていたりします。スーパーで買う食品も、海外から輸入されたものがたくさんあります。街で働く外国人に会うこともありますし、教室で外国ルーツの友人と勉強されている人もいるでしょう。身近なところに世界とのつながりはたくさんあります。ここからアンテナを広げ、国際社会への関心を広げることで、きっと新しい発見が得られるでしょう。

武蔵大学に関心を持ったあなたは

武蔵大学の特長は、充実したゼミ教育にあります。平均13名の少人数で開講されるゼミは、約400種類。1年次からゼミや少人数形式の授業がスタートします。グローバル教育にも注力しており、参加体験型学習スペースMCV(Musashi Communication Village)をはじめ、外国語学習やグローバル体験ができる環境を整備しています。
また、国際教養学部 経済経営学専攻では、本学の学位と並行して、ロンドン大学の学士号取得をめざす「パラレル・ディグリー・プログラム(PDP)」を設置しています。