経済学は、科学的方法で人間や社会を包括的に考える
理系と文系の両方の要素をもつ経済学
経済学は、政治学や法学などと同じ社会科学に含まれます。社会科学とは人間が作り出した社会を対象とする学問です。一方、自然を対象にする学問を自然科学といいます。数学や物理、化学は自然科学です。経済学は、人間が作り出した社会関係としての「経済」を対象にしているという意味では社会科学ですが、ほかの文系の分野と違い、数学や物理と同様の科学的方法を採用しています。
人間の活動を数値に置き換える
例えば、数学では「点と点を直線で結ぶことができる」という公理(約束事)があります。このような公理の上に数学の体系が構築されます。経済学でも、同じように公理が存在します。その一つが、「家計は効用を最大化する」というものです。効用とは、商品やサービスを消費することによる精神的な満足感を示します。「企業は利潤を最大化する」というのも公理です。これらは、数値に置き換えて考えられます。このように数値で表すことが、経済学が科学であることの根拠となっています。この2つの公理は、家計や企業という経済単位の指向を示しています。効用なり利潤なり、向かうべき目標が明らかなので、それを実現するためにはどうすればよいかという課題が生じます。
人間が「合理的思考」をする経済学の世界
また、経済学で数値計算する場合は、場所と時間を特定する必要があります。範囲が決まらなければ、数値処理ができないからです。このような経済学の考え方は、「効用を最大化する」というように、人間が「合理的思考」をすることを前提にしています。効用を最大化しない人間は何を目標にしてどういう行動をとるかわからないので定式化、数値化できず、科学にはなりません。
経済学には、社会科学と自然科学の両面があります。科学的に考えますが、多様な社会、あらゆる時代を対象にすることができます。また、人間のさまざまな側面も、それが数値化できるなら経済学の対象となります。このような包括性が経済学の魅力なのです。
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福岡大学 経済学部 経済学科 教授 山﨑 好裕 先生
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