モダニズム建築は日本の現代建築の礎なり
古い建物が並ぶ三条通
京都の三条通には中京郵便局や京都文化博物館など、多くの古い建物が残っています。外観を観察すると、中心地に近いエリアには赤いレンガを使い装飾が施された建物が多く、東に向かうにつれて四角い箱状の建物になっていくのがわかります。これは、中心地から徐々に開発をしたため、東に行くほど建物が造られた年代が新しくなっていくからです。
日本の西洋建築
幕末から明治にかけての開国とともに、日本にはヨーロッパから西洋建築の技術が入ってきました。当初は日本に呼び寄せた海外の技術者や建築家が、ヨーロッパの様式をそのまま建設していました。赤レンガで作られた建物の多くはこの時期に造られたものです。建設に関わった日本の職人の間に技術が伝わるとともに、海外の建築家が日本の大学で教えるようになり、日本人の建築家が育てられました。次第に日本人だけで西洋建築が造られるようになっていきます。
1920年前後には、ヨーロッパでモダニズムという合理主義思想が起こりました。それまでの様式的な建築ではなく、コンクリートやガラスなどを用いた建築となり、徐々に世界中に広まっていきます。その動きは日本にも伝わり、合理的で装飾のない、白い四角い箱のような建築に変化していきます。
建築に地域性を取り入れる
しかし、日本全国に広まる過程で地域性が取り入れられていきます。ヨーロッパでは合理的な形として屋根も平たく作られましたが、雨が多い日本においては、当時の技術では平たい屋根だと雨漏りの恐れがありました。そこで、モダニズム建築にも日本風の傾斜のついた屋根がデザインされたのです。また、自然の多い風土になじむように、真っ白でつるりとした工業的な外壁ではなく、ざらざらした表面や純白ではないクリーム色など、材料や色彩にも独自の工夫がされています。
今日の日本にはさまざまな現代建築が生み出されていますが、それらの建築思想は、この頃のモダニズム建築から育まれたものだと考えられています。
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京都橘大学 工学部 建築デザイン学科 教授 河野 良平 先生
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