アメリカの独立革命で世界はどう変わった?

アメリカの独立革命で世界はどう変わった?

独立革命を広い視点から見る

1776年のアメリカの独立革命は、どんな歴史的意義があるのでしょう。アメリカはよく、市民が革命を起こした共和制を採用し、近代世界を作っていくきっかけを作ったと言います。しかし、ことはそんなに単純ではありません。イギリスの植民地に過ぎなかったアメリカが「独立する」ことがどれほど困難なことか。イギリスだけではありません。この時代には、ヨーロッパ諸国は西半球に支配地を広げ、角逐を繰り広げていました。アメリカの人々はその中で「独立」をせねばならなかったのです。こうした状況は、独立という行為、また独立して形成されるアメリカの国の形に大きな影響を与えていきます。

主権国家体制の中での独立

その一つは、ヨーロッパの国々に認められて、初めて独立できることです。ヨーロッパでは1648年のウェストファリア条約で、他の国が認めれば、ほかの国の内政に干渉しないことを原則としました。アメリカの人々は、こうした条約を結ぶために、多くの努力を重ねます。例えば、アメリカの大使は、フランスとの交渉では、フランスがアメリカ大陸に持つ領土を侵害しないことを約束するなど、アメリカがまるでヨーロッパの「帝国」のような振る舞いをします。

イギリスの支配する世界での「アメリカ独立」

ヨーロッパ勢力が支配する18世紀の世界では、イギリスが名誉革命後、国王の権利を制限し、議会が政治的な力を握り、ヨーロッパの中で随一の近代的な政治システムを作り上げ、自らを「自由な国」と称していました。アメリカはその状況のなかで独立したわけです。そのことは、アメリカが独立を正当化するために、多くの道徳的な改革を行なっていくことにつながります。例えば、イギリスは独立革命をきっかけに、自らのやり方を反省して、道徳改革が起こり、奴隷制を廃止します。アメリカでは、こうしたイギリスの状況を参考にして、「独立した立派な国」をめざすために国内で多くの奴隷制反対運動が起こっていきます。このことは南北戦争の大きな要因にもなりました。

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先生情報 / 大学情報

福岡大学 人文学部 歴史学科 教授 森 丈夫 先生

福岡大学 人文学部 歴史学科 教授 森 丈夫 先生

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歴史学、アメリカ史学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は、初期アメリカの歴史、アメリカ独立前の時代から独立した後の時代を研究したり、教えたりしています。人文学部歴史学科は卒業論文が必修で、400字詰め原稿用紙に換算して75枚くらいの論文を執筆します。みんな苦労しますが、その中でも大変苦労して完成させた学生ほど目を輝かせ、すばらしい体験をしたと言います。
大学は自由なところですから、糸が切れたようになりがちですが、何かに集中すると充実した学生生活になります。歴史に興味があるなら、ぜひ歴史学科にきて充実した学生生活を送ってください。

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