「旅おこし」で地域の魅力を再発見!
「まちおこし」は住民の幸せ?
小さな町や村の人口、税収が減っていくなかで、それらの町や村を活性化させるための「まちおこし」が全国で行われています。従来の「まちおこし」は観光客を呼ぶために名所や特産品をアピールしたり、移住者を優遇したりするものでした。しかしそれだけでは、外から来る人だけが「まちおこし」の恩恵を受けることになってしまい、その土地に住む住民が幸せを得られるかどうかは疑問です。
「旅おこし」で幸福度アップ!
そこで「旅おこし」という考え方を提唱しています。「旅おこし」とは、外から来た旅人が観光名所や特産品と言われるものではなく、地元の人が当たり前に使ったり食べたりしているものを見て、その地元のよさを再発見するというものです。その土地に住む人が当たり前だと思っているものを、外から来る人に「これはいいですね!」と言ってもらえれば、その土地の住民の幸福度は上がります。
南木曽町の「ねこ」
長野県の南木曽町(なぎそまち)には地元の人なら誰もが知っている、「ねこ」とよばれる綿入りのチョッキのようなものがあります。例えばこういうアイテムが旅おこしの材料に使えるわけです。地元の人だけが使うもので、観光資源だとは思われていないものでも、外から来た人に「これはいいですね!」と言われれば、その価値に気づけます。「それならもっと作って外から来る人にもおすそ分けしたい」という動きにつながりますし、そうなれば外から来る人がお金を払って買ってくれるようにもなるでしょう。実際に「ねこ」はとてもよく売れるようになりました。
その土地にあるものが、ありのままで豊かであることに、地元の人が気づくことができれば、それは本当の意味でその地域が元気になる「まちおこし」になります。地元の人が気づいていない、その土地の素晴らしいものは、日本各地に必ずあります。「旅おこし」のモデルを作り、いろいろな土地の人たちが「旅おこし」を実践すれば、その土地に住む住民が幸せだと思えるまちが増えるのです。
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先生情報 / 大学情報
関東学院大学 法学部 地域創生学科 准教授 木村 乃 先生
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