レジ袋だけじゃない! マイクロプラスチック問題で大切なこと
人工芝や農業肥料からマイクロプラスチックが発生
近年、マイクロプラスチックが河川や海に流れ込み、生態系にさまざまな影響を与えていることが問題になっています。マイクロプラスチックとは、プラスチック製品が劣化して粉々になり、5ミリ以下の大きさになったものです。環境中に散らばったマイクロプラスチックが、雨が降ることで川や海に流れ込むのです。そのため、レジ袋やストローなどの使い捨てプラスチック製品を減らそうという取り組みが行われています。
その一方で、マイクロプラスチックの大きな発生源が、実は劣化した人工芝や農業に使われる肥料のカプセルだということがわかってきました。実験により、劣化した人工芝の1本から約1万個のマイクロプラスチックが発生することが明らかになりました。
飲料水にも紛れ込んでいる
海や川の水に含まれているマイクロプラスチックは1000リットルに数個というレベルで問題視されています。しかし、実はそれよりも高い、1リットルに数個程度が、水道水やペットボトルに含まれており、電気ケトルや紙コップに入れたお湯からは数千個というもの凄い数のマイクロプラスチックが検出されています。最近ではナノメートルの大きさまで検出できるようになっており、そうした方法で検査した結果、目に見えない大きさのマイクロプラスチックが人間の体内に摂取されている可能性が高いということがわかってきました。
問題解決の基本は「測ること」
こうした問題を解決していくためには、まず、「測る」「分析する」ことが重要です。客観的で正確な数値を示すことで初めて、実効性のある解決策を考えられるからです。
人工芝の例で言えば、劣化の度合いやマイクロプラスチックの発生しやすさを化学的な方法で調べて数値で評価すれば、数値を満たさなくなったものは交換するなどの対策が取れます。また、今後、人体への影響が明らかになってくれば、飲料水の基準等も決めることもできます。
このように、問題解決には化学的な方法で「測定すること」が非常に重要なのです。
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先生情報 / 大学情報
関東学院大学 理工学部 応用化学コース 准教授 鎌田 素之 先生
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