海外からの旅行者の新たな拠点、農家民泊
個人旅行の宿泊先として農家が選ばれる時代に
訪日外国人観光客は年々増えています。初めて日本を訪れる外国人は、京都など代表的な観光地を訪れるかもしれません。しかし2度目は、さまざまな体験をして「ディープな日本」を見てみたいと思う人は多いのです。
今後、多くの外国人観光客が訪れるようになると予想される場所は農村です。現在は、中学校や高校など学校の教育旅行の一貫として、農村・農家での宿泊が行われていますが、今後は外国人旅行者のほか、日本人の個人旅行でも農家宿泊がブームになると考えられます。
イタリアでは農家が宿泊先として定着
日本と同じく少子高齢化に悩み、地方の活性化が議論されているイタリアでは、農家がすでに宿泊先として定着しています。宿泊客が泊まる部屋にはシャワーやトイレが完備されており、その農家で採れる野菜などが食事として提供されます。利用客は農家に1泊~10日程度宿泊し、周辺の観光地を巡ったり、家畜と触れ合ったり、ゆっくり過ごしたり、農村生活・文化を楽しんだりします。イタリアでは、農家民泊がひとつの旅行カテゴリーとして確立しており、予約サイトも運用されています。
農家民泊は農家の収入を増やし地方を活性化する
農家民泊は、農家側にも大きなメリットがあります。宿泊代という形での所得が増えるため、本業の農業を安定して営むことができます。また、さまざまな人との触れ合いや交流の機会が増えます。さらには農家が作るジャムやワインなどの加工品が売れることも期待できます。
農家民泊は、自治体や町おこし会社、リーダー的存在の農家などが主導して、日本でも普及していくことが予想されています。外国人旅行者から火がつき、日本人旅行者にも波及していくのです。2030年には、訪日外国人旅行者6000万人時代を迎えるとされています。その頃には農家民泊が、ごく当たり前のものとして定着しているかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
千葉商科大学 人間社会学部 人間社会学科 教授 山田 耕生 先生
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