過疎化で失われた「地域の活力」を取り戻すには?
千葉県山武市の抱えていた課題
千葉県北東部に位置する山武(さんむ)市は、九十九里浜に面し、山海の豊かな自然に恵まれた場所です。農業や林業が主な産業ですが、近年は過疎化などの問題によって活力が失われつつありました。地元の人々にヒアリング調査をすると、過疎化によって地域内の若い人が減っているのが問題だと多くの人々が認識していることがわかりました。若者を呼び込むために、イベントなどをやりたいということでしたが、実際に何をどう企画したら若者に興味を持ってもらえるのかわからないことが課題となっていました。
「ネギフェスタ」と「田んぼアートプロジェクト」
そこで山武市民は大学と協力する形で、若者や観光客を呼び込むためにさまざまな企画を検討しました。例えば、地元の特産品のネギに特化したイベント「ネギフェスタ」です。ネギを主役にした料理コンテストや、ネギの早むき選手権など、ユニークな企画を通じてネギについて知ってもらい、山武市にも興味を持ってもらえたらという意図がこめられています。
また、山武市は成田空港から車で約30分の場所にあり、飛行機の航路の真下に位置しています。海外から来た人にも飛行機の窓から山武市の大地の景色を楽しんでもらいたいという意図もあって、「さんむ田んぼアートプロジェクト」という企画が実施されています。数種類の稲を絵柄に合わせて植え分ける田んぼアートは、その準備から田植え、鑑賞、収穫の各段階が、それぞれ特色のあるイベントとなっています。
息の長い形で続けられる仕組みを作る
このような地域活性化への取り組みで大切なのは、その土地に元からある特徴に着目しつつ、地域の人々の声に耳を傾け、何が課題なのか、それを解決するにはどんな方法があるかを見極めることです。宣伝や収益に固執してむやみに結果を求めるのではなく、地域内でより多くの人々が一緒に関わって、息の長い形で続けていける仕組みを作っていくことが必要になるのです。
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先生情報 / 大学情報
千葉商科大学 人間社会学部 人間社会学科 教授 勅使河原 隆行 先生
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