車や人の移動データを分析して、安全で快適な社会をつくる
データ収集・解析環境の活用
近年、さまざまなデータがオープンデータとして公開されると同時に、それを解析するためのツールも整えられてきています。また、カメラやセンサが安価になり、リアルタイムのデータ収集・解析も容易になってきました。これらを活用すれば、生活に役立つツールを手軽につくることができます。
例えば、スマートフォンのアプリを使って自分の移動履歴データを収集できます。そこにさまざまな分析を施すことで、自分の歩行速度、登りに強い・弱い、暑いときは足が遅くなるといったことがわかります。地形や天候を踏まえて目的地の到着時刻を予測することも可能です。グループで出かけるときには一番足の遅い人に合わせた経路を導き出すといった活用法も考えられます。
人の移動データを社会に役立てる
また、不特定多数の人の移動の分析も可能です。例えば、カメラやセンサで地下街の人の動きを観測し、人流モデルを構築した研究があります。人流モデルを使ったシミュレーションは、イベント実施時の誘導、災害発生時の避難経路の設定などに役立ちます。また、バスや食堂の混雑状況をLINEで知らせるサービスなども開発されています。安価なセンサとSNSを活用することで、簡単にサービスが構築できています。
交通モデリングで安全で快適な交通環境を
世界中のボランティアが共同で、誰でも自由に使える地図データを作成する「オープンストリートマップ」というプロジェクトがあります。このデータを元に交通シミュレーターを用いれば、地域の交通モデルが構築できます。自治体などが蓄積している交通量や交通規制のデータを入力してシミュレーションを行えば、渋滞の発生予測ができます。滋賀県彦根市ではこの交通モデルを使って、大規模イベントの開催時に関係者や観客がスムーズに移動するための交通規制や信号機の制御方法の検討が進められています。構築された交通モデルは、日常的な渋滞の解消、安全で快適な交通環境の実現にも役立ちます。
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先生情報 / 大学情報
滋賀大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 梅津 高朗 先生
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