身近に感じて! 日本の伝統工芸品

身近に感じて! 日本の伝統工芸品

土地の個性を伝える伝統工芸品

陶器や磁器、塗り物、和紙などの伝統工芸品は、その土地に暮らす人々や風土によって作り出されています。例えば、茶わんや湯のみなどの焼き物も日本各地で作られており、どの産地でも主な原材料は土や石です。しかし、それぞれの土地によって、土や石の性質には違いがあり、またその土地の人々がどのように使うかによって、作り出される焼き物の形状も変わってきます。風景、人々の生活が違うことで、それぞれの工芸品の特徴が生まれるのです。

「なぜ、そこで作られるのか?」を考える

工場で大量生産される商品は、どこでも同じものができます。むしろ、どの土地で作ればコストをかけずに作れるかを考えて生産されていると言えます。それに比べて、歴史的にずっと続いてきた伝統工芸品は、その場所でしか作れない理由と特徴があります。その特徴を消費者によく知ってもらい、作り手の技術や思いなどが伝われば、今後も生産と消費の関係は続いていきます。「なぜ、その場所で作られているか?」を追究することは、作り手、消費者の双方にとって大切なことなのです。

伝統工芸品の発展と未来

伝統工芸品の産地で開催されている陶器市なども、近年は変化してきています。商品を売るだけの場ではなく、フェスティバルとして開かれることも多くなりました。職人と消費者との会話や制作体験の機会を設けたり、観光名所や地元の食文化を一緒に伝えたりするなど、地域が一体となり、その地域の個性としてPRする試みが増えています。
「伝統工芸品=高いもの」というイメージがありますが、工芸品は本来、人びとの身の回りで使われていたものです。意識して使うことで工芸品が身近に感じられるでしょう。伝統工芸品の世界でも日々新しいデザインや使い方が考えられ、新たな挑戦が行われています。文化は、いかに多様なものになって社会に広がっていくかという点が重要です。日本の伝統の文化と心を伝える工芸品の新たな展開に期待が寄せられています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

金沢大学 融合学域 観光デザイン学類 准教授 丸谷 耕太 先生

金沢大学 融合学域 観光デザイン学類 准教授 丸谷 耕太 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

景観工学、観光学、造園学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は伝統工芸についての研究をしています。研究を進めるためにはデータを収集し、分析することが必要です。一方、現地に行ってそこで活動している人の話を聞くことも、地域に関わる研究を進めるうえでとても重要です。大学のデスクと現場を行ったり来たりしながら、自分の思い描く研究や未来を表現できるといいと考えています。
世の中に起こっていることを見て、感じることがとても大切だと思います。あなたも、ものづくりのために努力している人の思いに共感し、地域の将来を一緒に考えてみましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

金沢大学に関心を持ったあなたは

金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。