「体にいいコーラ」や「脂肪を燃やすお茶」はどのように生まれたか?
周到に計画されている食品開発
スーパーやコンビニの店頭に並んでいる、多種多様な食品や飲料の多くは、通常だと1年以上前から研究開発と商品企画が始められ、周到に準備されてから出荷されています。各メーカーは、市場でのシェアを争う競合商品との差別化のために、さまざまな工夫を凝らし、販売戦略を組み立てています。
トクホと飲料の組み合わせ
コーラ系飲料を例に考えてみましょう。今まで「コーラ」と聞くと、「さわやかでおいしいけれど、体にあまりいいとは言えない」というイメージを持つ人が大半でした。そこであるメーカーは、難消化性デキストリンという食物繊維を配合したコーラを開発し、史上初の特定保健用食品(トクホ)のコーラとして発売しました。そして、トクホとコーラという意外性のある組み合わせは大ヒットを記録しました。これと似た現象は緑茶系飲料の分野でも起こっていて、体内の脂肪の分解を促進するとされるポリフェノール成分を配合したトクホの緑茶は、爆発的にヒットしました。
別の例で興味深いのは、チョコレートです。通常、チョコレートのパッケージにはチョコレートそのものの画像が用いられますが、あるシリーズのチョコレートでは、原材料のカカオの産地に特徴があることを前面に押し出すため、カカオをイメージしたイラストのみでパッケージをデザインしたのです。その意外性が話題を集め、ヒット商品となりました。
日々の生活を健やかにより豊かにする食品開発
食品や飲料において、最も大切な食の安全・安心の部分は、メーカーの研究開発部門が担っています。一方、商品企画・宣伝部門では、よりよい魅力的な商品にするためのこだわりを持って研究開発部門に企画案を提出します。そして、食品表示法に抵触しないように細心の注意を払いながら商品のパッケージや各種広告を決め、販売戦略を練っていきます。
人間が日々の生活を健やかに、そしてより豊かに過ごせるように、今日も数多くの食品や飲料が社会に送り出されているのです。
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先生情報 / 大学情報
実践女子大学 生活科学部 食生活科学科 准教授 松岡 康浩 先生
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