みんながゲームみたいな生き方をする世の中って?
生活までゲーム的になった現代
「もういい加減にやめなさい!」なんて怒られながらも、ゲームに没頭していた記憶はありませんか。ゲームに熱中していると、本当にあっという間に時間が過ぎてしまいます。あなたが小さい頃は、最高のエンタテインメントだったのではないでしょうか。
最近では、ゲームの形態はどんどん変わってきています。ニンテンドーDSに代表されるように、漢字検定の勉強や株取引の練習ができるようなソフトも現れ、エンタテインメント性だけでなく教育的側面も加わるようになりました。また、自分の行動の記録を残して管理できるような実用性に富んだものも私たちの心をつかんでいます。
さらには、生活そのものも次第にゲーム化してきていることに気づいていますか? 例えば、ポイントカードは当たり前の時代となりました。商品を試したり、店員さんと会話しながら買うという、人とのコミュニケーションが主体だった行為に、ポイントを貯めていくというデジタル化された合理性がプラスされたのです。自分のポイントをどうやって使って生きていくかという目的がはっきりとした戦略性は、なんだかゲームと似通っていませんか。ピッとワンタッチで支払いが済んでしまう電子マネーも、同様にゲーム感覚的です。
目的が明確化される社会に必要なこと
これらの現象は、物事が合理的に解釈され、目的と手段が明確化されるというゲーム的社会の到来を表しています。生活は便利になりますが、行き過ぎると目的が優先されるため、生身の相手について考えることができなくなって、暴力などに歯止めがきかなくなる危険性もあります。もちろん、人を傷つけないという目的を合理的に法に落とし込むことができれば、インターネットの誹謗(ひぼう)中傷などを止めることができるかもしれません。
自分とは異質な対象を認められる人間的な合理性を持ちあわせて初めて、目的重視の合理性が有益に働くのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
静岡大学 情報学部 情報社会学科 教授 吉田 寛 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
情報学、情報社会学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?