違っているから面白い! 日本語と英語の「構造」
省略しても通じるのが日本語
「先週、太郎は花子にDVDを貸した。しかし、まだ返してくれないので困っている。」あなたはこれを読んで、誰が、何を返さないので、誰が困っているのかという関係を、容易に理解できると思います。「(花子が)(DVDを)返してくれないので(太郎が)困っている」のように、主語や目的語が省略されているにもかかわらず、日本語を「母国語」として使用している私たちには違和感がありません。しかし、英語の場合、文法的に入れなければならない要素を省くことはありません。この点が、日本語と英語の大きな違いの一つと言えるでしょう。
語順を変えても通じるのが日本語
語順の自由度にも日本語と英語の違いが見えてきます。 例えば、英語で「Taro lent Hanako a DVD.」という文があります。日本語の場合、「花子に太郎がDVDを貸した」、さらには「花子にDVDを貸したんだ、太郎が」と言っても意味が伝わります。一方、英語では、「Hanako lent Taro a DVD.」と言うと、意味が変わりますし、「Hanako a DVD lent Taro.」は正しくない文となります。語順が意味を決める英語と、動詞や名詞などの語句を比較的自由に動かすことができる日本語、これも言語間の大きな違いの一つです。
「違い」を楽しめば、言語習得が効果的に
あなたは、日本語を入力するだけで英語に翻訳してくれる翻訳サイトを活用したことはありますか? 正確な自動翻訳を実現するには、日本語と英語との違いを細かく分析しなければなりません。どの部分でどんな語句が省略されているのか、それを英語に翻訳する場合はどんな言葉で補うべきかを、コンピュータで処理しなければならないからです。この比較・分析のプロセスは、言語教育や言語習得の場でも大いに役立ちます。日本語との「違い」を理解し、面白さを感じながら学べば、英語をはじめ、さまざまな外国語を効果的に習得できるはずです。
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