考古学者の仕事と、学問としての「考古学」の魅力
モノに歴史を語らせる考古学
考古学者というと、遺跡の発掘調査や土器・埴輪などの考古遺物がまず浮かんでくると思います。また人気映画シリーズ『インディ・ジョーンズ』や漫画の主人公などを思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、考古学者はただ単に遺跡からお宝を掘り出すだけが仕事ではありません。発掘された資料は埋蔵文化財という公共の財産になりますので、これを多くの人々の研究や、また学校教育・社会教育に役立てるために、成果報告や博物館での公開を行う必要があります。
さらに考古学者は、それらの地下から発掘された資料を用いて、新しい歴史像を引き出すべく、絶えず研究を行っています。文献史料と異なり、直接ものを言わない遺跡や遺物に歴史を語らせるのが考古学の醍醐味と言えます。
考古学における遺跡調査
考古学者が遺跡から情報を引き出す方法は、発掘調査だけではありません。発掘調査は遺跡を破壊してしまうことになりますので、分布調査や測量調査など、状況に応じて非破壊の表面調査も使い分けつつ、総合的に行っていく必要があります。
また、出土した遺跡や遺物は、まずその年代を知ることが重要です。遺跡の地層などから年代を導き出す「層位学」、遺物の形状の変化から先後関係を判断する「型式学」、そのほか理化学的な手法も含め、種々の方法論を駆使して、考古学者は遺物の年代を判断していきます。
考古学による歴史復原
上記のような年代決定を基礎としつつ、考古学者はモノ資料を用いて歴史を復原していきます。考古学的「発見」によって直接的にあきらかにされる歴史もあります。しかし自分の掘った資料だけではなく、ほかの研究者が発掘した資料も含め、膨大な資料を実際に手にとって観察し、その形状や作り方を比較検討することで、明らかになる歴史のほうが多いのです。
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先生情報 / 大学情報
名古屋大学 文学部 人文学科 教授 梶原 義実 先生
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