会議の盛り上げ役は誰? 人の心を動かすロボットの研究

人間の行動を促す「かわいいロボット」
ロボットは人間のために行動する機械ですが、人間に行動させるためのロボットの研究もあります。例えば、小さな子どもがぎこちなくゴミを拾っているのを見た人は、思わず助けたくなり、一緒にゴミを拾う行動を起こします。そうした人間の心理をロボットに応用するのです。
「人の心を動かすロボット」として注目を集めているのが、「ファシリテーション・ロボット」です。ファシリテーションとは、会議や討論の場で、参加者の意見を引き出したり、いろいろな人の意見をまとめたりすることで、その役割をする人を「ファシリテーター」といいます。
リラックスして話せる場をつくる
大勢の人がいる場、先生や上司がいる場では緊張しがちです。しかし、かわいいロボットがファシリテーターならリラックスできて、自由な発言を引き出すことができます。
これまでに開発されたファシリテーション・ロボットは、マイクを持った小さな雪だるまのような形をしています。会議テーブルの上に乗り、発言の少ない人の前に行ってマイクを向け、子どものような声で、会議のまとめをするよう語り掛けます。すると、ほかの参加者の注目がその人に集まり、和やかなムードの中で、自然に発言できるのです。
生成AIがファシリテーションを学ぶ
このファシリテーション・ロボットには、「大規模言語モデル(LLM)」と呼ばれる膨大なテキストデータを学習することで、文章を理解して、生成するAI技術が使われています。プロのファシリテーターが、会議のどのような場面でどのような声掛けをしているか、そのサンプルをたくさん収集して生成AIに学習させるのです。
このロボットをファシリテーターとした会議の様子を記録して、人と人とのコミュニケーションの場にロボットが介在することで、どのような効果を生むのか解析する研究も行われています。また、このファシリテーション・ロボットをオンライン上の会議に応用するシステムの開発も進んでいます。
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先生情報 / 大学情報

愛知産業大学造形学部 スマートデザイン学科 准教授大島 直樹 先生
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知能ロボティクス先生への質問
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