千葉県に、世界を代表する地層があった!
地質時代に「チバニアン」の名前が?
地層とは、そこに残された化石や岩石を分析することにより、地球の過去の姿を知ることができる貴重な資料です。地層を調べるには、海底をボーリングして堆積物を円柱状に取り出すという方法が一般的ですが、地上にも、かつての海底が隆起して地層が見える場所があります。
千葉県市原(いちはら)市には、約77万年前の地層が観察できる崖面があります。これがその時代の地層であると世界的に認められれば、この地がGSSP(国際標準模式地)として登録され、約77万年前~12万6千年前の地質時代が「チバニアン」と名付けられる可能性があります。
地球の地磁気はたびたび逆転している
77万年より前は、地球の地磁気が現在とは逆だったことがわかっています。現在の地球は、S極が北極、N極が南極(それゆえ磁石のN極が北極を、S極が南極を指す)という地磁気を持っていますが、地球の歴史の中では、何百回もN極とS極が入れ替わってきました。地磁気の逆転の原因はまだわかっていませんが、地球中心核の流体鉄の流れの変化に関係していると考えられています。原因究明には地層中の磁鉄鉱が記録した磁気を測定する必要があるのですが、千葉の地層に、この地磁気の逆転を示す痕跡がはっきりと残されていたのです。
地層から気候変動の情報も得られる
地上で見られる地層は、隆起や沈降によって断片的になっていることが多いのですが、海底の地層よりも精度の高い分析ができます。また大洋の真ん中よりも堆積物が積もりやすいので、同じ年数でもより厚い地層ができています。例えば千葉の地層では、平均して1000年で2m堆積しています。つまり、50年で10cmですから、気候変動などの情報も、人間の生活感覚に近いレベルで得られるのです。
77万年前という時代は、植生などの生物相が現在の地球とよく似ていました。それゆえ千葉の地層を研究することが、現在や未来の気候変動予測に役立つのではないかと期待されています。
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先生情報 / 大学情報
茨城大学 理学部 理学科 教授 岡田 誠 先生
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